Friday, January 27, 2017

おいしい話 No. 114「スパゲティー スクワッシュ」


どれだけの人が スパゲティー スクワッシュの存在を知っているのだろう。
アタシは半年前まで知らなかった。
友達と「OX」にご飯を食べに行った時に、メニューに「スパゲティー スクワッシュ ガーリックバター アンド パルメザンチーズ」みたいな名前の一品があった。グルテンフリーとして、スクワッシュをズッキーニやビーツみたいにスパゲティー状にシュレッドして料理したものだと想像し、それを注文した。
繊細なほど細いスパゲティー状のスクワッシュが、黄色いスクワッシュの殻を皿替わりに盛り付けられて出て来た。
そこまではいいよ。
まあキレイにシュレッドして、なんて思いながら食べていたら、その繊維がその黄色いスクワッシュの皮の内側からピロピロと出てきているのが見えた。えっ!?
もしかして、これって人工でシュレッドしたわけじゃなく、ナチュラルにこういう状態に発育しているわけ?!?!
この驚きを向かいに座っている友達に投げつけた。
「そうだよ、そういう風にすでになっているスクワッシュ」だよ。
衝撃だった。この植物の存在、全く知らなかった。
すごい、凄すぎる! なんだか知らないが、非常に感動した。

すっかり秋になった今日この頃、マーケットの店先にも沢山スクワッシュが出始めてきた。そういえば あのスパゲッティ スクワッシュもあるのかな、と思っていたら、テレビのフードネットワークで、スパゲッティ スクワッシュの料理の仕方を説明していた。よし、作ってやる!と思い立ち、Whole Foodsまで探しに行った。自分で見分けがつけられるのかな、と思っていたら、ちゃんと値札に「Spaghetti Squash」と書いてあった。

スパゲッティ スクワッシュの長い方を軸に半分に切り、種を取り除く。
切った方を下に伏せてオーブン用のコンテイナーに並べる。水を少し入れて、アルミホイルでカバーし、400度で40分ほどオーブンで焼く。
この間、トマトソースを作る。
鍋にオリーブオイル、ニンニクを入れて炒める。ニンニクは多いほど美味しいので、私は丸ごと一個分入れる。マッシュルームも入れて炒める。よく熟した大きめのHeirloom Tomato2個、ざく切りにして鍋に放り込む。イタリアンドライハーブのミックスを入れ、シーソルトとコショウする。トマトペーストと赤ワインも入れて中火で煮込む。トマトソースのレシピを見ると たいがい砂糖を入れるとあるけれど、熟したHeirloom Tomatoを使うと 酸味もキツくなく、とっても甘みがあるので、砂糖は全く入れなくていい。
オーブンが40分経って チーンと鳴った時には トマトソースも出来上がっている。トマトソースって 色々入れて すごい時間かけて煮込むものと思っていたけど、実はこんな風にとっても簡単に美味しくできちゃうのだ。私はもう随分、缶や瓶のトマトソースを使っていない。最後にフレッシュバジルを入れて火を止める。

スクワッシュをオーブンから出して、スプーンやフォークで身を掘り起こすと、Tad-ahー!キレイなスパゲッティ状の繊維が出て来る出て来る。
これを一旦ボウルに入れ、オリーブオイル、シーソルト、コショウで軽く味付けし、スクワッシュの殻に戻す。別で炒めたエビを並べ、トマトソースを掛け、チーズ、パセリ、パン粉替わりにカリフラワーのみじん切りを振りかける。これをまたオーブンに戻し、チーズが溶けて表面がブラン色になるまで焼く。 

いや、これが旨いのなんのって。スパゲッティ スクワッシュは画期的な野菜だと、自分で作って改めて感動している私。こんな風にスパゲティー状の身を持って育つなんて、ほんとんどミラクルだわ。
出されたお皿を見つめながら、フォークを握り、「本当にスパゲティーだ」と呟くハビー。ハビーは、子供の頃、これにブラウンシュガーとバターを乗せて食べていたとか。こんな風に本当に「スパゲティー扱い」をして食べたのは始めてだ、と感動していた。私にはブラウンシュガーとバターの方がわからん、と思った。

スパゲティー スクワッシュは 色々な味付けで 幅広い用途があると思う。ガーリックバターとか、クリームソースとか、バジルのペストなんかの味付けにしてもいいし、チキンスープに入れて ヌードルスープ風にしても美味しいと思う。

栄養面としては、細胞の働きを最大に促すナイアシンやチアミンなどのビタミンB系が多く、身体の抵抗力機能を上げ、抗酸化作用のあるビタミンCも含まれている。また、カルシウム、鉄、ポタジウム、リンなどのミネラルも豊富だ。
この秋は スパゲティー スクワッシュにはまりそうだわ。



Kiki


 Posted on 夕焼け新聞 2016年11月号



おいしい話 No. 113 「ダイ・ハード ファン」


もう10年ほど前に、友人の取っていたクラスの課題で、ドキュメンタリーフィルムを作るというのがあり、その生徒達の完成作品を一般に公開するイベントに誘われ、E Burnsideにある映画館に観に行った。どれもこれもいかにもな、学生の作ったアマチュアフィルムだったが、ある作品に魅了された。その作品の出来とか質とかではなく、そこにフィーチャーされていた女性自身に。
彼女はStorm and the Ballsという名前のバンドのボーカルで、当時W BurnsideにあるDanteというクラブで演奏していた。そのフィルムはある夜のステージの模様と、彼女のインタビューを節々に入れるという、テクニックも何もない非常にシンプルな映像だったが、彼女のBoldnessが際立った。
インタビューで答える彼女は歯に衣着せぬ、オブラートも何にもない、正直でワイルドな女。そしてステージでは、怖い物無し、向かってくるならいらっしゃい、上等よ、という態度。彼女がステージで話をしていると客の携帯が鳴り始める。彼女はその携帯を客から取り上げ、自分が電話に出で、掛けた相手と話をする、というシーンが斬新で、強い印象を残した。
強烈なステージのappearanceに、あの態度。誰、この女―――!
そのフィルムがきっかけで、Storm Largeの存在を知り、私の追っかけ人生が始まった。
彼女の全てのCDを買い、Portlandのライブショーのリスティングをチェックしては、いろんなクラブに足を運んだ。パンクロックのパワフルでセクシーな歌声にノックアウト状態だった。ハビーも含め、色んな人を一緒にライブハウスに引きづり込んだ。
そうこうしていると、StormがリアリティーTVショー「Rock Star Supernova」に出演する事になった。オーデイションで選抜された15人が、毎週生き残りを掛けてステージ上で観客を相手にパーフォーマンスを行い、最終的に残った一人が、ロックバンド大御所達が結成したバンドのボーカルとして ツアーに出れるという番組。
なんでそこにいきなりStormが登場していたのか不明だが、National NetworkShowで、物おじすることなくStormらしいBad-assぶりを発揮し、Dave NavarroTommy Leeと対等に掛け合っていたのが痛快だった。That’s my girl! ハビーを横に無理やり座らせ、毎週欠かさず観ていた。
あと1週で最終週、というところでStormは落選してしまったけれど、Portlandに帰ってきたStormはすっかりヒーローだった。Stormのキャリアはここから一転したと思う。
Portland Center Stageがプロデュースしたミュージカル「Cabaret」に出演したり、映画に出たり、自分の実際の人生を元にした一人芝居のステージ「Crazy Enough」を上演したり。完売続きで終わったPortlandでのショーの後は、NYOff-Broadwayでも上演する事になった。その後「Crazy Enough」という同題名の自叙伝を発売し、Oregon SymphonyPink Martiniとも共演するようになった。
無名時代に金の卵だと見出し、追いかけ回しながら 彼女が成功していくのを見る事は嬉しかったが、「成功した」という地点に立ってしまうと、なんだか温度計のメモリがじわじわと下がって行った。
それから数年、Stormと私は別々の道を歩んでいた。

今年の夏、Portland Zooで行われた野外Summer ConcertStormと再会した。彼女のステージを見た瞬間、私の熱が再上昇した。彼女はすっかり「成長」していた。皮が剥けて、さらに大きな存在となってステージに立っていた。あの口の悪さと、怖いもの知らずの態度は健在だったが、歌い手としての幅がぐぐぐーんと広がっていた。やっぱりStormはスゴイ。
その後すぐ、彼女の自叙伝「Crazy Enough」を買って読んだ。Storm Largeはステージネームじゃなくて、本名。精神を病んだ母親とDealしながら ストームよろしく破天荒な人生を生きて来た。彼女のExtremeな人生が、強靭な精神を作り上げたのか。どんな状況であろうと、相手が誰であろうと、自分を折り曲げる事はしなかった彼女。それが絶対の強さとなって彼女の芯になっている。

再びストーカーに戻った私は、彼女の活動を調べた。9月にSeattleでコンサート。出動可能範囲ではないか。即座にチケットを購入し、仕事を午後から抜け、ハビーを車に押し込み、Seattleまで走った。一番新しいアルバム「Le Bonheur」を大音量で聴きながら。
Triple DoorでのStormはシャンソンからジャズ、スパニッシュからフレンチまで幅の広さを見せながら、昔のパンクロックの乗りも合わせて、とても素晴らしかった。ショーの後、ロビーに出て来たStormとハグをした。10年前にあのアマチュア ドキュメンタリーフィルムで見つけたStormと今ハグをしているなんて。
自叙伝によると、あのフィルムを見た人がいたから、例のリアリティーTVショーに出る事になったとか。私だけでなく他の人にもStormの黄金の光が見えていたんだね。

これからも彼女の動向をしっかり観察していくつもり。一ダイ・ハード ファンとして。


Kiki


 Posted on 夕焼け新聞 2016年10月号



Saturday, October 1, 2016

おいしい話 No. 112  「ウォーキング」

バランスの取れた食事と共に、エクササイズは心と身体と脳の健康に欠かせない!と人に言い続けているが、当の本人、LA Fitnessも解約したし(何故ジムって行かなくなるんだろうね)、Barre3も金欠でクラスのチケットを使いきった後更新できてないし、としばらくエクササイズから遠のいていた。
いかんっ、これじゃあいかんっ!
急に焦りの気持ちが沸いてきた。
お金を使わないで、効果的なエクササイズと言えば、ウォーキングだ。歩く事って、走るよりもいいらしい、と聞いた事があるぞ。とにかく、今日は天気もいいし、よし、歩こう!と、思い立った。
エクササイズと言える距離となると、どこまで歩くか。最近開発が進んで、栄えてきているN Williams辺りをCheck-outするつもりで行ってみるか。うちから往復で1時間ぐらいと推定。まあ、いい距離だろ。準備をしながら 同じくサボりモードになっている友達にけしかける。「アタシ、ちょっと歩いてくるわ。この美しいボディーを維持しなきゃいけないからさ。」たぶんゴロゴロと寝転がっていたであろう彼女は、飛び起きて「私も行くぅっ」と駆けつけて来た。

今日は気温もマイルドで、気持ちのいい風も吹き、なかなかのウォーキング日和だ。山や森林のハイキングもいいけれど、街中を歩くのも好き。夢の一軒家に思いをはせ、サイドウオークから並び立つ家々を品評するのも楽しいし、新しいショップやレストランを発見するのも面白い。車だと見落としてしまいがちだけど、ウォーキングだと 歩く歩調でストリートの様子が伺える。

二人でぺちゃくちゃと喋りながら 歩を進めて行くと、あっと言う間にN Williamsに差し掛かった。右を見ても、左を見ても、コンドやアパートの建設が盛んに行われている。このメインの通りを北に上がり、折り返して来よう、と決めた。こんなお店ができている、あんな店ができている、なんて一件一件窓から覗きながら歩いていると、ニューオリンズ調の軽快なジャズの音楽が聞こえてきた。「EAT Cajun Kitchen & Oyster Bar」から流れて来ている。全開になった店の入り口から中を覗くと、ジャズバンドが生演奏していた。オープンテラスのテーブルで、ブランチに集まった客達が身体をリズムに乗せながら楽しそうに鑑賞している。「いいねえ、この曲。」思わず足が止まり、歩道につっ立ったまま聴き入る二人。気が付いたら1丸々聞いていた。次の曲もリズム感のある曲で、席に座っていた女性が立ち上がり、マイクを持って歌い始めた。上手い。その歌いっぷりとパーファーマンスは、メンバーなのか飛び入り参加なのか判定しかねるほど、自然にそのシーンにハマっていた。やっぱ ジャズはこの即興性がうまみなんだよね、なんて知ったかぶる。
あまりの演奏の素晴らしさに魅了された二人は、立ちっぱなしもナンだからと、そのレストランのテープルに腰を掛ける。サーバーが注文を取りに来た。
「シャンパン2つ。」
「あ、フレッシュオイスターもダースで。」
あのぉ、エクササイズはぁ? 全く典型的な私達。簡単に意志は妨げられる。「カンパーイイ!」すっかり本来の目的から脱線した二人は、陽気に身体を揺らしながら 演奏に聞き入っていた。すると、「あれ、あのサックス吹いている女の子、日本人!?」と、バンドの中の日本人らしき女性に目が留まった。生涯ジャズをやってます的な黒人のおっちゃんの横で、チンと座ってサックスを吹いている。本当に日本人だったら、スゴイ。たまに色んな場所で、スゴイ事やってる日本人を見るけれど、ここにもいたか、という感じだった。バンド演奏が休憩に入った時、彼女のところに行き、声を掛ける。本当に日本人だった。ポートランドに数年、本職の傍ら、自分のパッションである音楽活動をこのジャズバンドと共に行っている。「行き甲斐です。楽しくてしょうがないです」と言う彼女。「おおおおー」と感銘を受ける私と友人。
私は楽器を演奏できる人をいつも尊敬するが、楽譜なしで、即興演奏をするジャズバンドにいる演奏者は10倍尊敬する。そこに涼し気な顔をして演奏している彼女、計り知れません。
彼女曰く、あのベテラン風黒人のおっちゃんは Reggie Houstonという名前で、地元のジャズ界では尊敬される存在だとか。彼女はReggieと共に、「EAT」の他にも、「Tapalaya」や、「Cannon Rib’s Express」で定期的に演奏する傍ら、様々なイヴェントにも登場しているよう。
なんという発見でしょう。本当に、たまには街も歩いてみるもんだわ。素敵な事やってる日本人に出会うとこっちも嬉しくなる。
いやあ、今日はいい日だったね。エクササイズと いい音楽。
シャンパンを飲んだ後ろめたさとアルコールは、ここから家まで、後半のウォーキングでふっ飛ばすのだ。




Posted on 夕焼け新聞 2016年9月号



おいしい話 No. 111 「Bone Broth」

 ハビーの元ボスが原因のわからない病気になり、ここ3-4週間弱っていた。
元々の発端は、あるディナーパーティーに呼ばれ、そこで普段制限しているパンを食べた頃らしい。めちゃめちゃ美味しいガーリックブレッドで、結構な量を食べてしまったとか。
その夜から体調が悪くなり、腹痛と吐きまくりの日々が続き、ろくに食べられない状態に陥っていた。「今口にしているのはBone brothだけ」と言う。彼女は友人達に助けを求め、このBone brothを作ってもらって 命を繋いていた。
その話を聞いて、私も力になりたいと思った。
彼女にはすごい恩があるし、日頃からハビーもお世話になっているし、こういう時こそ恩返しをしなければ!と思って立ち上がった。「私も作る!」
でも、「Bone broth」ってなんぞや?
Chicken stockや、Beef stockとどう違うわけ?
グーグルしてみました。
検索によると、呼び方の違いだけで、StockBrothも基本的に同じ。鶏や牛、魚などの骨を野菜やハーブ、スパイスなどと煮込んで出来たスープ。
なんだ、知ってるよ。それだけ?と思ったが、驚く事なかれ、Brothには非常に高い栄養価が含まれているのだ。
長時間煮込む事によって 骨の中にある豊富なミネラルを充分に抽出する。そのエキスは免疫力を上げ、消化器官の作用を向上させ、カルシウム、マグネシウム、リンは骨や歯を強くする。コラーゲンも多く含まれており、関節や、髪の毛、肌、爪の健康にも大きな効果がある。加齢する女性の悩みの種となるセリュライトも除去するとか。そして消化機能だけでなく、脳や神経の機能、デトックス、抗酸化作用に大きな影響のあるアミノ酸も多く含まれている。正に、今言うところの スーパーフードではないか。
Brothは病気で食欲のない人には得に良く、療養、回復には欠かせない一品なのだ。

Brothをただのダシにしか取っていなかった私は その影響効果に驚いた。
そういえば、昔の西部劇映画や、「大草原の小さな家」とかで、ベッドで唸る病人に味気のなさそうな汁を飲ましてるシーンあったよな。「飲まなきゃだめ」とか言いながら。あんな具もろくに入っていない物食べさせて なんで活力になるというのか、と思っていた。なるほどね、昔の人の知恵ってすごいよね。今みたいに栄養学で数字で証明される前から、その効果を知っていた、ていうことだものね。

とにかく善は急げ、思い立ったが吉日。早速Laurelhurst Marketにでかけ、3パウンドの鶏の骨を獲得。Whole Foodsで牛の骨を1パウンド買う。出所は確かよね?とブッチャーに確認する。○○ファームから来てるからモチロン!と自信のある返事。よろしい。ニンジン2本、玉ねぎ1個、セロリ2本、Apple cider vinegar大さじ2杯、ペッパーコーン15粒、月桂樹の葉3-5枚、水10カップ。野菜は全てオーガニック。水はフィルターをかけたもの。
さて、これをどうやって煮るか。ストーブの上でぐつぐつと煮るか、スロークッカーか、プレッシャークッカーか。あるレシピには普通の鍋だと72時間煮込むとあった。それは無理。じゃあスロークッカーとプレッシャークッカーとどっちがいいのよ。リサーチ係のハビーに任務を委ねると、プレッシャークッカーだと返答があった。あの強烈なプレッシャーにより、より多く、しっかりと骨の髄まで栄養素を抽出できるのだとか。料理器材ならなんでも持っている友人にプレッシャークッカーを借り、材料を放り込む。
50分の高プレッシャーと1時間の弱火煮を2回繰り返し、最後に新鮮なパセリ1束とニンニク丸1個分、塩の替わりにフィッシュソースを数滴入れて、40分の高プレッシャーをかけて締めとする。完全に自己目安なんだけど、72時間煮込んだに相当するでしょうと完結する。

充分に熱が冷めた後、鍋を笊にかけ、Brothだけを濾し取る。
このBrothを瓶に小分けにして冷蔵庫で冷やす。すると油が浮き上がり、白い幕となってBrothの両面に固まる。Brothを家で作る特典は、この副産物も利用できる事。この油の白い固まりの部分だけ取り除き、野菜炒めなどに使う事ができるのだ。または飲む手前までそのまま残しておくと、保存用の蓋替わりにもなる、というわけ。素晴らしい!

大きな瓶3本のBrothが出来上がり、元ボスの家まで配達をして来た。
後に、「あーたの作ってくれたBrothBESTだった」と大文字で強調して返事をくれた。新鮮な材料と時間と愛情の賜物ですよ。

元ボスの災難により、Bone brothの存在とその効果を知った私。これを日常に取り入れ、毎日コップ一杯とか飲んでいると、怖い物知らずの身体になるんではないかしら。
Hubby, I need to buy a pressure cooker!




Posted on 夕焼け新聞 2016年8月号



おいしい話 No. 110  「結婚式、フリースタイル」

Hubbyの高校時代の友人から、結婚式の招待状が来た。ポストカードで。
Amanda + Karl are getting married!” 
二人が見つめ合っているショットの写真の裏を返すと、そういうメッセージが書かれていた。
Saturday June 18th Mt. Tabor @1pm”
RSVP by May 10th theknot.com/us/Amanda-Karl”
このカジュアルさ、Hubbyの友人らしい、、、。得に高校時代の友人は、皆どこか一風変わっているから、まあ、「らしい」と思ったわけだけど、実際の彼らの結婚式も、常識外れの、フリースタイルだった。

Mt. Taborに行った事のなかった私は 普通の公園だと思っていた。天気の良い午後に緑の公園で結婚式っていうのもいいんじゃないの、と。でもこの「Mt.」と言う所が少し引っかかっていた。山登り、みたいな事にはならないよね?

Mt. Taborの入り口から舗装された道を上がって行く。なんとなく山っぽい、、、。
ところで、Mt. Taborのどこなん?とハビーに聞く。「知らない」。「ハァ?」
「僕が持っているインフォメーションはあの招待状のハガキに書かれていたインフォメーションだけだよ。」
Saturday June 18th Mt. Tabor @1pm”
ええええー? ホントにあれだけなの?!
手前に電話して詳細を聞くとかしてなかったわけ?「してない。」「出た、、、。」
Mt. Taborの規模がどれだけなのかわからないけど、Mt. Taborでイベント、と言えば誰でもココとわかる場所があるのだろうか、、、。

車で上って行く途中にガジボのように屋根のある大きな休憩場所が目に入った。そこには白いクロスのかかったテーブルがずらりと並べられ、屋根の周りはヒラヒラとカラフルなテープでデコレーションされていた。
それを横目で見ながら、更に上って行く。途中で車を駐車して そこから徒歩で登って(!)行く。
AmandaKarlの結婚式、というサインも無し、風船や、矢印の道案内も無し。当てども無く、ただ上に向かって歩いて行く。これで本当に合ってるわけ?という顔をしながら登っていたのは、私達だけではなかった。ちょっと綺麗な格好をした人達や ギフトを抱えた人達が、同じように困惑した顔をしてぞろぞろと歩いていた。彼らもまた、私達を見て「確認」しているようだった。
最終的に「Mt.」のてっぺんに辿り着いた。そこは、大きな木々の間に 平らな地面が広がっている場所だった。何となく人が集まっている。皆が再会した知人や、そこで知り合った人達と雑談をしている。1時はとっくに過ぎているが、新郎新婦どころか、ウエディングプランナーやオーガナイザー風な人達も見当たらない。「ここで良いんだよね?」と、また知らない人達と確認しあう。誰も定かではない。
1時間経った。何も無し。雑談ももうネタ切れ。雨が降り始めた。私の堪忍袋が切れそうなタイミングで、一人の男性が皆にアナウンスをした。新郎新婦は遅れているので、一旦屋根のあるレセプション会場に行きましょう。レセプション会場は、あの飾りつけしてあった休憩所だった。
坂道を下り、レセプション会場に行くと、先に着いた人達が備えてあったワインを勝手に空けて飲み始めていた。私も知ったこっちゃねえとワインをグラスに注ぐ。アルコールが入ると皆また談話に花が咲き始めた。新郎新婦抜きのレセプション。しかもまだ式もしてないのに。「This is a backwards wedding!」と誰かが叫んだ。ホントに。

それから1時間後、同じ男性がアナウンスをした。もうすぐ新郎新婦が登場するので、あの元いた場所に戻って下さい。えー、やっぱりまた上がっちゃうの? 今度は、皆ワイングラスを片手に登り始めた。
不思議だったのが、この待たされている間、誰一人として文句を言う人がいなかった事。ごねる人も、ぶーたれる人も、帰ってしまう人もいなかった。なんて寛容なポートランド人!

全員があの山のてっぺんに戻ると、誰かがバイオリンを引きはじめた。白い花を胸に刺したKarlが大きな木の前で立っている。小さい女の子が花びらを撒きながら現れた。次に子犬を連れた男性。ブライドメイド、グルームズメンがその後に続く。最後に花を髪に飾った新婦がブーケを持って現れた。Karlのお兄さんが神父の役を受け、結婚を執り行った。全くもって手作りのシンプルな結婚式だったけれど、とても美しく、素敵な式だった。長らく待たされていた事も帳消しになった。終わり良ければ全て良し。集まった皆が笑顔で祝福している。

こんな結婚式始めて。常識や型から外れていても、2時間の遅刻をしても、弁明する事も無く、これが私達のスタイル、と堂々とやってのける彼ら。そしてそれを受け入れる周りの人達。全くもって自由なスタイル。長いアメリカ生活、様々な珍体験をして来たけど、これもまた、いろんな意味で、心に残る結婚式でした。




Posted on 夕焼け新聞 2016年7月号



おいしい話 No. 109 「ハイキング」

ハイキング、いいよね。
健康でいるために、日頃から心がけないといけない事の一つは、運動すること。
世の中 人々は色んなタイプの運動をしていると思うけど、ハイキングも立派な運動、エクササイズよ。特に自然の中にある、長―いトレイルを歩くのは、身体だけでなく心にも健康効果があると思う。

4月の末に Dog Mountainというトレイルコースに行った。
その日は晴天で、初夏を感じさせる温かい日だった。今年のアウトドア活動の切り出しとしてパーフェクトな日だった。
去年からハイキングに目覚めた友人が、Dog Mountainに行こうと誘ってくれた。アウトドアでのエクササイズ、たまにはいいもんよね。特にロケーションが私の好きなパワースポットのGorgeにあると知ったら、やっぱ行かないと。歩くのは好きだけど、ジムの中でトレッドミルを歩くのは10分で飽きる。自然の景色を鑑賞しながら歩くのは、時間を忘れるもんだ。
オッケー、と返事したものの、どういうタイプのトレイルかは不明。あんまり強烈なコースでない事を願う。

別のハイキングマニアの友人が、早く行かないと 駐車場を見つけるのが厳しいよ、とアドバイスをくれた。たぶんこの「早起き」をしないといけない、というのが、本日のコースの一番の難関部だと思う。

頑張って9時に出発。Hwy 84を東に走り、Bridge of Godを渡ってワシントン州側に入る。Hwy 14を引き続き東に向けて走り、Stevensonという小ぃちゃい町を抜けて少し行くと 車が路肩にきっつきつで駐車しているのが見え始める。え、ヤな予感。これみんなハイキングの人達? 登り口にある駐車場はすでに満杯。時すでに10時半。ハードコアなハイカー達に先手を取られたようだ。私達も漏れなく登り口から随分離れた路肩に駐車。私達のエクササイズは15分余分なアスファルトのハイクから始まった。

Dog Mountainのトレイルは、本当に山登りだった。2つのコースの内、Less difficultのコースを選んだが、結構傾斜がきつい。日頃だらけているおケツの筋肉が、いきなり鞭を打たれて悲鳴を上げている。この思わぬ傾斜の上りにやられたのが 実は私ではなく、一緒に行った友人。私より頻繁にハイキングに行っているのにも関わらず、ペースが遅く、何度も立ち止まっては休憩をしている。
「吐きそう」「はっ?」
さては昨日の夜飲んでいたな。問いただすと そうだとと白状した。
「飲み過ぎた、、、。」「ハイキングに対する真剣身が足りん!」
しかし、ヘタっていたのは彼女だけではなかった。ガタイの大きい若いオニイちゃんも、担いでくれーと叫んでいた。そして ワタクシ本人も、ゼイゼイハーハーとうるさい呼吸をしながら、向かい来る暴風を突き進んでいた。(ような進み具合。)
それでも、歩き続けられたのは、青い空に、葉の間できらめく日の光、気品高くそびえ立つ木々や、トレイルの脇に咲く野花など、周りを取り囲む美しい自然を楽しむ事ができたから。

下りて来るハイカー達がすれ違う度に、もうすぐだよ、と言ってくれる。ゴールは近いようだ。どんなに傾斜がきつくても、どんなに厳しい道のりでも、ただひたすら、あきらめずに歩き続ける。まるで人生のようではないか。
そして その「苦」の後には「楽」ある。
厳しいトレイルを歩き通したハイカー達へのご褒美は、天国のお花畑のような頂上だった。コロンビア川を見下ろす壮大な丘一面に 真っ黄色の野生の花が満開に咲き乱れていた。まさにヘブンを思わせるこのゴージャスな景色。思いもよらないサプライズだった。

出発時は青ざめていた友人もすっかり元気を取り戻し、一緒に「スゴーイ!」を連発しながら興奮していた。
いや ホントに。これは絶景です。黄色のお花畑の丘から見下ろす渓谷のうねりと、その間を流れるコロンビア川、青い空に緑の木々達。やっぱりGorgeはパワースポットだ!と再確認。独りでフラリと来て、この丘に座り、Gorgeの風に吹かれて ポーっとするのもいいな、と思った。人生に思い詰まった時に来るには最高の場所だわ。
丘のてっぺんで 絶景を堪能しながらスナック休憩。エナジーバーではなく、おむすびを持って来るべきだった、と思った。おむすびとお茶が合う場所。なんだか子供の頃の遠足を思い出した。

下りも入れて全部で4時間のハイキング。そんなに歩いた気がしないのが トレイルハイクの良さだよね。まあ、翌日には強烈な筋肉痛でRemindされる事は間違いないが。

この黄色いお花がいつまで美しく咲いているのかはわからないが、一度はトライする価値有りの Dog Mountainトレイルです。





Posted on 夕焼け新聞 2016年6月号





Tuesday, June 7, 2016

おいしい話 No. 108 「オレゴン ワイン カントリー」


日本から家族や友達が来たら 絶対に連れていきたいと考えているのが、オレゴンのワイナリー巡り。(だーれもまだ来る気配はないが。)
カリフォルニアのNapaSonomaなどと比べると 面積の規模は大きく違うかもしれないが、オレゴンのワイナリーが持つヴィンヤードは壮大で美しく、そのひけをとらないと思う。そして、完全に地元びいきだけど、カリフォルニアのワインより オレゴンのワインの方が断然美味しいと思う。本当に日本に住む家族や友達にその景色を見せたい、飲ませたい!

オレゴンだと、やっぱり赤はPinot Noirという。私の意見としては、Pinot Noirは当たり外れがひどく、レストランで知らないでグラスなんかで注文すると 殆ど外れが多い。だから自費の外食の時は、Pinot Noirを注文して残念な気持ちになるよりも、2-3ドル安い、味に極端な違いもなくフルボディーで安定しているCabernetを注文する。

でもワイナリーに行ったら メインはPinot Noirとなる。私の経済力では 街のレストランなどで、本当に美味しいPinot Noirはなかなか見つけられない。でもワイナリーでは テイスティングルームで少しつづ様々なワインを味見できるから、安く宝探しができるのだ。オレゴンでPinot Noirを作っていないワイナリーはほとんどないんじゃないかな。とってもセンシティブなブドウだから、個性の違いが出やすい。ワイナリーによって 色鉛筆のカラーのように その出来は様々。テイスティングで そのカラーの違いを比べるのが楽しい。美味しいPinot Noirに出会ったら本当に幸せな気持ちになる。真さに宝探しなのである。

しかしさー、美味しいワインって、なぜ、こんなにも 幸せな気持ちにさせるんだろうね。とっても不思議。

先週行ったPenner-Ashのワイナリーも 非常によかった。
テイスティングして、ワインやワインメーカーの歴史やうんちくを聞いて、私達があまりにもチャーミングだったせいか、テイスティングメニューに載っていない別のワインも注いでもらったりして、すっかりご機嫌だった。
なぜ Penner-Ashを今回選んだかというと、ここのワイナリーの白ワインが、先日中国の首相が訪米した時に、ホワイトハウスでのディナー用に選ばれた、という記事を読んだから。ホワイトハウスのディナーにしてこの庶民的な値段、1本$30、スクリュートップ! てね。

これをどうしても試したかった。主要人物を迎えるにあたってホワイトハウスが選んだ$30のワイン。アタシにも買えるじゃんっ!
嬉しい事にこのワインがテイスティングのメニューの中に入ってた。
これが、めちゃくちゃ美味しかった! 丸くて、柔らかく、ハニーのような舌の絡みがあり、それでいて甘くはなく、キレイなドライ感があった。
なんて良心的なのだ! あと数ケースしかない、という言葉に乗せられて1本買っちゃいましたよ。2014 Oregon Viognier

あと、このViognierも含め、Penner-Ashの白ワインは フランスの白ワインを思わせる味がする。やっぱりオレゴンの土と気候が フランスに似ているっていうのが、似たようなぶどうの味を産み出しているのかな。カリフォルニアの白ワインでは思わないもの。ワインメーカーも フランス産のワインを意識しているのだろう、と勝手に思った。

通常、ワイナリーに行くと、テイスティングの後に、その中で気に入ったワインをグラス、またはボトルで買い、そのワイナリーの暖炉の傍や、テラスや 敷地の芝生などに座り、ゆっくり時間を過ごす。

Penner-Ashは ヴィンヤードが見渡せる高台に位置しているので、そこからの眺めは絶景。大きく開いたテラスの向こうには芝生の敷地が続いていて、そこに腰かけると 温かい春の日差しと風を感じられて本当に気持ちよい。
今日 選んだ一杯は、テイスティングメニュー以外で出してくれたワインのひとつ。ロゼ。2015 Roseo

ロゼというと 甘いワインを思うけど、これは優しいドライで、ベリーのような香りと甘みが微かにあり、ルビーの輝きを飲んでいるような感じだった。2015と若いけど、変な若さで暴れてる感が全くなく、オトナの女性、という感じだった。

これをグラスで買って、外に腰かける。
この時間が 喜びの時間なんだよね。 友達と行けば、人生の話で盛り上がり、(うまくいっている)パートナーと行けば、将来の話で盛り上がり、時間が経つのも忘れる。

本当にこういうひと時を、日本の家族や友達とも味わいたい、味あわせてあげたい!と思う。だから彼らが来たら、絶対連れて来てあげたいと思うわけ。

腰の重い奴らに、イメージ写真で釣ろうとメッセージを送った。
「是非、Penner-Ashのウエブサイトに行って、その敷地の写真を見てちょうだい、こんなとこなのよ! 行ってみたいと思わない!?」

いつかやって来るだろうという希望のもと、私のワイナリー巡り、開拓は続く。
これから いい季節になるね。




Kiki


Posted on 夕焼け新聞 2016年5月号