Sunday, May 20, 2012

おいしい話 No. 62「貴重な出会い」


人の縁て、不思議だよね。何処で誰とつながって、どんな新たな出来事が待っているかわからない。日ごろの行いがよろしいと、その出会いはたいてい有益なものであったりする。
「前から話していた知人が、ポートランドでレストランを開いたの。ご馳走してくれるみたいだから、おいでよ!」
来た!すばらしい出会いが、またやって来た。
「行く行く!もちろん、是非そのお方を紹介して!」
アジアのヒュージョン料理のお店かあ。う~ん、オイシソ。

ポートランドのダウンタウン、Paramount Hotelの中にあるレストランが、最近新しくオープンしたと聞いていたけど、そこが そのお知り合いのお店だったのね。食いしん坊のハビーが、私の一期一会にのっかってくる。いや、是非、僕も、その新しい出会いとやらを味わってみたいものだ。
ずーずーしさには事欠かない私とハビーが笑顔で登場。Tasting Eastのオーナーとその奥さんと、非常に友好的な挨拶を交わす。持つべきものは友だなあ。そこからいろんな輪が広がっていくよね。さて、とりあえず、ビールからいきましょうか。
TE Barというバーエリアのテーブルに着き、「IPA!」と元気良く、ウエイターの男の子に 愛飲ビールを注文。そこで ハビーからストップの声がかかる。小説と同じくらいメニューを読むのが大好きなハビーが、アジアのビールがいろいろあるよ。こういう時には 新しいものを味合わないと!
うかつだった。確かに。ご馳走してくれるんだから 保守的になる必要はないのだ!
ハビーは大仏さんの形をしたボトルに入った「Lucky Buddha」を、私は「33Esport」を注文。しまった、また何処の国のビールか忘れた、、。あんなに何度も ウエーターが困るほど聞いたのに。

アジアンヒュージョンて、どこにでもあって、誰もがやっていることだけど、Tasting Eastは、日本の下町裏通りの味、韓国の家庭料理の味、タイの市場のベンダーの味、台湾や中国のストリートカートの味を集めてきた料理、と言われると、印象が違ってくるから不思議だ。よく見られる闇雲でトンチンカンな創作料理とは違い、ちゃんと基本の味を解っているんだあ、と説得される。
とにかく、アジアの庶民的な味を ポートランドに持ってきて、Snobbyな値段をつけてちゃあいけませんよ。(ほんとうに多いんです。)だいたいHappy Hourがないなんて、昨今のエコノミーでやっていけません。特にウチの家計では。
なーんて批評家的なことを言いながらバーメニューを見る。あれ、すでにHappy Hour 級の値段設定じゃないの。ロール寿司を入れても、一品$2.50から$7.506時までにダッシュで入店しなくても、居酒屋のように いつでも、普通に、あれやこれやと単品で注文して、お安くいろんなアジアの味が楽しめるんじゃない。嬉しい。オゴりじゃなくても、また戻ってこれるのね。

ポートランドの五萬とあるレストラン市場で、最初の情熱を保ったまま、そして、利益も得ながら生き残っていくって とっても厳しい事だよね。オーナーやシェフ達が、日々 アイデアを絞り、試行錯誤し、「人気のお店」に造りあげていき、それを継続していく努力をするわけだろうけど、やはりポイントは 「戻りたい店」を作っていくことだ、と私は思う。
店には独自の個性があって「戻りたい店」要素は様々だけど、私にとっては、「あの店のあの一品」。あれが食べたいから また舞い戻る。何度行っても、いつ行っても、期待を裏切らない変わらぬ味。そういうものをレストランが提供している限り、「人気のお店」は廃れないと思う。

まずは最初の出会いが肝心。「いやあ、あの味、忘れられないなあ」という出会いを作る。別れた後も いつまでも心に残る出会い。「また会いたい!」と思う出会い。

今回、私のAttentionをしっかりGetしたのは、「Scallion Pancake Sandwich」のBulgogi Beef。強く 私の味覚のツボを突いた。クレープのように薄く焼いた韓国風のバンケーキを、タコスの皮のようにして、たっぷりの千切りキャベツと肉を挟んで戴く。これが 非常にうまかった。シェアしたハビーと取り合いになったのは言うまでもない。今度は丸一個一人で食べてやる。
「あの店のあの一品」、自腹を切っても また会いに行くからね!
いつまでも 変わらぬあなたでいてください。


Kiki

Tasting East
909 Southwest Park Avenue
Portland, OR 97205
(503) 243-5991



 Posted on 夕焼け新聞 2012年5月号

Saturday, May 12, 2012

おいしい話 No. 61「近代文明進化の恩恵」


近代文明の進化はすごい、という話を先月もしたけど、今度は日本の映画やドラマ、バラエティー番組が、インターネット上で見ることができる昨今に、感動している。
アメリカに来た当初は、誰かが家族の人に ビデオカセットテープに貯め撮りしてもらった日本の番組が、留学生の間で回覧されていた。自分の手元に来た時は 23年の古さだった、てことは当たり前だったけど、感謝の気持ちで、日本に思いを馳せながら、じっくり観させてもらった。
その後は 時代がDVDに変わり、そのコンパクトさで、一回に10枚から20枚回ってくるなんてことになった。とは言っても、やはり日本の家族や友人に録画してもらい、送ってもらったモノなので、番組も2、3ヶ月前から12年の古さ、という感じだった。
でも、今やインターネットで何でも観れる時代。誰かに録画してもらう必要もなく、自分の番が回ってくるのを数週間待つ必要もなく、日本で放送されたその翌日から1週間以内で、まだ温かい番組を観ることができるのだ。

お笑い好きの私はもっぱらの バラエティー派。暇な時、ぐーたらしたい時に、いつものサイトに行き、お気に入りの漫才師の番組を探してみる。若いゲストはほとんど 誰だかわからないけれど、80年代90年代に活躍した人がゲストで出るとなると、「お、ちょっと観てみようか」となる。
ラップトップPCをコーヒーテーブルに置き、カウチに横になり、ポテトチップスをボリボリかじりながら、「あー、年取ったなあ、この元アイドル!」とかやっているのである。

無表情な家政婦の話や、若い女の子が、警視庁捜査一課で班長として 自分より年上の部下を従えて事件を捜査していく話などは、現実身がなくてまったく 感情移入しないし、共感もしない。浜ちゃんとまっちゃんのボケ&ツッコミの方が、ずっと私に「笑い」の時間を与えてくれる。

そんな私が、この数週間、あるドラマにハマッていた。
「最後から二番目の恋」
小泉今日子が主演で、中井貴一、飯島直子、森口博子など、馴染みがあり、安心する顔ぶれが揃っている。中年男女の恋愛物語で、役者の実年齢がそれぞれの役の年齢、ていう設定が興味を引いた。ということは、昭和のアイドル時代に一世風靡したキョンキョンが45歳で、青年役を爽やかに演じていた中井貴一は50歳なんだ! もうこの時点で、しっかり共感できる。
ナニがハマッたかって、このキョンキョンが実にいい。
堂々と45歳の女を演じているのだ。「40過ぎで独身で、このまま一生独りなのかしら」という、ある時期に入ったシングルなら 誰でもぶつかるこの恐怖感と孤独感を、とてもリアルに、でも、視聴者をズドーンと落ち込ませない、明るく軽い演出が施されている。独身女性には 本当に本気で、暗くなり勝ちなテーマだけど、「45歳」とか「おばさん」とか「昭和の匂いがする」とかいうセリフを、ためらいなく吐き出し、地をもさらけ出しているかのようなキョンキョンを観ていると、逆に気持ちがいい。ドラマには珍しく「笑い」が発生するのだ。共感している私にだけ 発生しているのかもしれないが。

「恋愛ドラマ」だけど、ドロドロした人間の負の部分が全く無く、非常に明るい。「別れる」「くっつく」「あの人が騙した」「浮気した」が見所ではなく、「色々だけど、今を大事に生きていくっきゃないよね」と、軽くポジティブに最後まで構成されている。

ということで、ハマッてしまった。
昔のトレンディードラマ流行の時代以来。
毎週毎週、放送日が待ちどおしくて たまらない状態になってしまったのよ。
ほぼ同時進行で 同じ週の番組がみられるインターネット動画サイト。日本の木曜日の夜に放送されて、次の日、つまりアメリカの木曜日の夕方には、最新のエピソードがダウンロードできる。

毎週、金曜日に 同じくハマッている友達からテキストが来る。
「ねえ、昨日観たー?」「今回もまたよかったねー」「はああ、来週がもう待ち遠しいよお。」
VHSDVDを借りていた頃から考えると、信じられない会話だ。

先週、ついに最終回を迎えてしまった。
友達と一緒に溜息をつく。「これから何を生きがいに 生活していけばいいの。」
一緒に青春を駆け抜けた昭和のアイドルが、一緒に年齢を重ねていく姿に安心したのか。そのカラカラとした、前向きな姿に勇気付けられたのか。このドラマを追っかけている数週間は楽しかったなあ。

はっ、ちょっと待って。本当にテレビを見ているように追っかけてたから、テレビを見ている気持ちにすっかりなってしまったけど、このサイトに戻れば、いつでも、何度でも、「再放送」できるんじゃない!
そういえば、こんなに大好きだと豪語しておきながら、最終回に なぜ「最後から二番目の恋」なのか、をキャッチできてきなかったわ。インターネット、近代文明様サマです!

Kiki


「最後から二番目の恋」




Posted on 夕焼け新聞 2012年4月号

Sunday, May 6, 2012

おいしい話 No. 60「時代は変わる!」


うちの地元の方言で「しぶちん」という言葉がある。財布の紐が固く、そう簡単にその紐をとかない倹約家を呼ぶ。お金に糸目をつけず、気前がいい人、の正反対。率直に言えばケチンボ。

正真正銘しぶちんの私は、一年以上も、スマートフォンに換えるべきか、悩み続けてきた。トレンドに敏感で新しいモノ好きな人々が、新商品や新モデルが発表されると、発売と同時に、躊躇なく購入するのを横目で見て、よくまあ そんなにすぐ飛びつけるもんだ、と思っていた。
確かに、わざわざコンピューターを立ち上げなくても、スマートフォンからSkypeを通して、日本の家族に簡単に電話がかけられる、というのは魅力的で、そこが 私の悩みどころなんだけど。でも、毎月の電話代が データ料金も入れて$70-80というのは、いくらなんでも高すぎないか。
そりゃ、今の私の携帯電話は、安っぽくておもちゃみたいだけど、ちゃんと電話もテキストメッセージもできる。プリペイドだから、倹約して使えば一ヶ月に$20もかからないんだから。と、世の風潮に流されないポーズをとったりもしていた。
しかし、先日、知り合いがユーズドのアイフォンをタダでくれる、自分の携帯電話ならプロバイダーと契約をしなくてもいい、そして会社の社員割引が利く、という条件が揃い、ついにスマートフォンを使用することになった。

人間が開発する技術って、すごいね。二昔前の、でっかい箱のような「携帯電話」を肩に担いでいた時代からは、手のひらサイズで、タッチスクリーンの携帯電話が登場するとは思ってもみなかった。私の想像の域を遥かに超えたテクノロジーの進化に、改めて感嘆している。特にそう強く思ったのが、Viberの存在を知り、そのアプリをダウンロードしてから。

Skypeが登場してから、国際電話はずっとSkypeを利用していた。随分安い料金で電話がかけられる。もちろん、かける相手がSkypeのアカウントを持っていれば、タダで話ができるけれども、問題は、お互いが「オンライン」状態でいなかればならない。そのタイミングを計るのが容易でない。ましてや、家にいてPCを開けなければならないとなると、尚更だ。
そこにくるとViberは、相手もViberをダウンロードしていれば、「オンライン」であるとか「オフライン」であるとか、関係ない。タダで、いつでも、どこでも、普通の携帯電話と同じように、電話をかけたり、テキストメッセージを送ることができる。
先日、大阪の友人に Viberからテストコールをかけてみた。
私「もしもし? 今どこ?」
友人「今ねえ、営業中。車で客先回ってるとこよ。あ、せっかくやから遠方の客から先に回るわ。その間アタシの運転中、しゃべれるやろ。」
それから20分、Viber上でおしゃべり。普通の電話とまったく変わりないクオリティー。お互い、「すごいね、これ」を連発。「何がどうワークしてるのか さっぱりわからんけど、とにかくすごい。」と興奮した。
大阪の友達が、ポートランド市内で 営業周りをしているような距離の短さを感じ、感動。またこれが全部タダ、ときているから よけいにすごい。気兼ねなく、電話をかける頻度も高められる。プリペイドコーリングカードの時代は 終わった。

さっそく地元のしぶちんどもにEmailを送った。「あんたたち、スマートフォン? だったら即、Viberをダウンロードして頂戴! ナニ、まだスマートフォンじゃない? 早く買いなさい!」

20年前には想像もつかなかった技術の進化。どんどん、日本とアメリカの距離感や、時差の感覚が無くなっていく。家族や友人が同じ町にいるような感覚がして、胸がキュウンとする。今は東京にいる ESL時代の友達が、「私の留学中にあったら どんなによかったかぁ。」と、Viberでテキストメッセージを送ってきた。横浜に住む元ルームメートも、「なんか、海を越えて離れてるって思えなーい!」と電話の向こうではしゃぐ。

時には、貧乏性の気を えいっ、やっ、と 振り払い、清水の舞台から飛び降りた気持ちになって、財布の紐も緩めてみるもんだね。(スマートフォンの月々の電話代のことを言っています。)「損」をした気持ちでなく、それに替わる、お金に変えられない、沢山の「得点」が得られることが あるもんだ、と悟った私です。

Kiki




Smart Phone application:
Viber


Posted on 夕焼け新聞 2012年3月号

Saturday, April 28, 2012

おいしい話 No. 59「My Luckについて」


Downtownの オフィス街には、平日のお昼時になると 長蛇の列ができるランチのお店がたくさんある。「PHO PDX」の看板がある小さいフードコートの中にあるVietnamese/Thaiのお店も、その例にもれず。
私は、ちょっと二日酔い気味の、「なんか汁物が食べたい」という日に、決まってここのPhoを目当てにやってくる。徒歩の距離で うどんもラーメンも見つからないこのオフィス街で、ここのPhoは私の荒れて乾いた胃の救世主なのだ。
長い列が短くなっているだろう12時半頃を見計らってお昼に入る。職場から2ブロックほどを小走りに走り 駆け込む。1分でも昼休み時間を無駄にしたくない。注文する窓口前には、3、4人が上部に掲げてあるメニューを仰ぎながら順番を待っている。34人待ちぐらいなら まだ我慢ができる。
窓口のお兄ちゃんに注文をし、お金を払い、番号札を貰う。お箸とナプキン、フリーのお水をくんで、テーブルがある二階に上がる。12時半過ぎだと、食事が終わって 席を立つ人達のテーブルが開くころなので、これも丁度いいのだ。5分ほどで 別のお兄ちゃんが Phoを運んできてくれる。あっさりとしたライスヌードルをズルズル、熱々のスープをぐびぐびっと頂く。はあ~~~、滲みる~~~。これこれ、二日酔いにはこれよぉ。

まあ 確かに、二日酔いの日中は こうやって平日でもPhoが食べられるからいいが、日本のように 飲んだ後の夜中の2時に 麺類を食べられないのが悲しいね、とふと思う。昔は、散々飲んだ後に、川原沿いある屋台のラーメン屋に寄るのが お決まりのコースだった。時にはうどんの時もあった。飲んだ後に、ハビーと同じく フライドチキンを食べる気には、絶対なれない。
夜中までやっているうどん屋やラーメン屋を、ここポートランドで見つけるのは無理にしても、こんなに大人気のPhoのサービスを、どこかでやっていてもいいじゃないか、と訴えたくなる。

このVietnamese/Thaiの店が、ある日 隣のテナントに移転した。
あまりの人気で、小さいフードコートの建物では収まりきらなくなり、「Luc Lac Vietnamese Kitchen」として、自分達だけのお店を開くことになったんだな、と思った。
規模は大きくなったが、それに比例して忙しさも倍増したようだ。前を通りかかった時、ガラス越しに、レジの前に並ぶ客の列と、To Go 待ちの客でパンパンになっている店内が見えた。
しかし、それに怯んでいるわけにはいかない。二日酔いの日は必ずやってくる。荒れて乾いた胃が Phoしか受け付けない日がやってくる。その日には、ここに駆け込むしかないのだ。

そして先日、いつもの時間差攻撃で、忙しさが少し収まったころに その新しドアを開けてみた。なんだか雰囲気が違う。ちょっとヒップな感じになっていないか。中央にはバーのような作りになっていて、その周りを囲むように テーブルが壁に沿って置かれている。そして奥にはオーブンキッチンがあり、馴染みの料理人がいた。いつもの従業員達も 急がしそうに立ち回っていた。
$6.50Phoをレジで注文し、お金を払い、番号札を握って、唯一空いていたカウンターの席に座る。そして すぐさま、新しく印刷されたメニューのチェックに入る。
「ハッピーアワー??!!」「ドラフトビアー、ワイン、カクテル??!!」
メニューに書いてある文字を見て、自分の目を疑った。まさか、そんなにアタシの二日酔いはヒドイのか。とっさにバーのような作りになっている場所に目をやった。すると本当にドラフトのレバーが設置され、上部にある棚には ハードリカーが並べられていた! 喜びと、興奮で、心拍数が上昇し、体が熱くなってきた。ハッピーアワーは4時から7時まで -「パーフェクトじゃない!!」スモールプレートは $2または$3 -「安い!!」
心拍数が更に上がる。My ladiesとの、アフター5の 待ち合わせにバッチリではないか。
そして、金曜日と土曜日の営業時間を見た時、息を呑んだ。椅子から貧血少女のように倒れそうになった。なんと この二日は 朝の4時まで営業しているのだ。バーで閉店間際まで飲んだ後に、ヌードルスープが食べられるのだ。 80’Sで踊りまくった後に、軽く空いた小腹を埋める場所ができたのだ。

その日より 私の頼まれてもいない宣伝活動が始まった。 コミッションのため、必ず自分の客を連れてくるツアーガイドのようでもある。ただ ひたすら自分がお金を落としているだけなのだが、$2―3の小皿と、Dinnerになっても$6.50と変わらないPhoには、ギルティーは感じない。私のLuc Lac熱は暫く続くとみている。


Kiki



Luc Lac
Vietnamese Kitchen
835 SW 2nd Ave.
Portland, OR 97204
503-222-0047


Posted on 夕焼け新聞 2012年2月号

Sunday, April 22, 2012

おいしい話 No. 58「Girls Night Out」


そりゃあ まあ(自分のダンナはさておき)素敵な異性がいないと生きていけない女子共だけど、女だけで出かける夜には、あえて 男子(ダンナ)は呼びたくない。呼ぶと楽しさが半減する。帰りしなに 不完全燃焼感が残る。やっぱり 女子だけで集まる会をまた設定しなければならないね、となる。

しかしなぜ 女子だけで集まると、こんなに楽しいのだろう。
2011年も終盤にさしかかり、最後の締めは もちろん男子立ち入り禁止のGirls Night Out
普段着ることのないドレスを選び、ぺったんこシューズからキラキラのハイヒールに履き替え、少しおしゃれをして ちょっとリッチなレストランに集まる。いつもはTシャツにジーンズで ダイブバーみたいなとこで安いビールをくらっている私達でも、年に一度のクリスマスの時ぐらい、これくらい装って、特別な夜を過ごすのもいいじゃない。

素敵な異性とのデートの時も、女子というものは はりきるものだけど、ホリデーシーズンのGirls Night Outは異様。1ヶ月前から 日にちと場所を設定、2週間前から ドレスコードメモがvia社内メールで走り、1週間前には 上司に この金曜日は残業はいっさいできません、という断固とした意思を伝えること、という指令が出される。そうして Sex and The City風貌よろしく、女4人が、5時きっかりに Laurelhurst MarketBarに集まった。

まずここで男子の集まりでは見られない光景が展開される。ハグとキスでグリーティングした後は、お互いの装いを充分に褒めあう。ヘアスタイルにアクセサリ、メークアップに、ドレス、そしてシューズと。男子にまったく持ち合わせぬ感性と視点で ポイントアウトしながら褒めていく。
一通りの儀式が終わった後は、無くては始まらぬカクテルのオーダー。

Laurelhurst Marketで必ず飲まなければならないのが、「Smoke Signals」。このカクテルの美味しさの秘密は、Hickoryでスモークされた、でっかい真ん丸の氷。この真ん丸の氷がごろんとウイスキーグラスの中に入り、シトラスとシェイクされたウイスキーがその上から注がれる。昔サントリーウイスキーのコマーシャルで見たことあるような絵だ。
丸い氷って、ゆっくり溶けるから、氷が溶けるにつれ、スモーキーな味とアロマがゆっくり放たれ、ウイスキーと旨い具合に調和する。こんなにリッチだけど、繊細なウイスキーカクテルは他にはない。これが飲みたいからLaurelhurst Marketを選んだ、とも言える。

アルコールが注がれれば 誰もこの女子4人を止められない。「Catch up」の弾丸トークが展開し、美しい装いに反する笑い声が連射される。なぜここに男子(ダンナ)がいると、不完全燃焼感が残るかというと、このリズムと勢いとエネルギーが制御されるからだ。女子には女子の言い分があり、女子にだけしか分ち合えない事が世の中には沢山ある。そこに共感できない男子が(ダンナ)が、無頓着にも 自分のフットボールチームや、最近出たTablet、欲しいソフトウエアの話などしだすと、急速 鎮火状態になるのだ。

ダイニングに移って、「Smoke Signals」のお変わりをして A LA CARTE のステーキを注文する。キャンドルライトの下、普段なら素敵な異性とロマンチックな時間を過ごすところだが、今日は女友達と ミディアムレアの肉をシェアしながら、生々しく、毒々しく、密やかな話しに花を咲かせる。
特別おしゃれをしているからか、照明効果なのか、いつもより生き生きと若返ってみえる女子軍。
「そりゃあ オトコも必要だけど、アタシはこの女子の集まりなしでは 生きていけないっ!」
全員が真っ赤な顔をして頷く。
まさに 人生のアルコール補給なのである。ちゃんと定期供給をしてあげないと、顔から、魂から、火が消えてしまうのだ。(決して酒乱の言い訳では ありません。)

気がつけば、満席状態の店内。他の客の歓談の音が レストランに充満し、私達の賑やかな声を掻き消す。この楽しい夜が永遠に続いてほしい。そう願うところに、サーバーのお姉さんがチェックを持ってきた。ちゃんと お金を払わなければいけない現実、家に帰り、日常に戻らなければいけない現実がよみがえる。
よし、充分笑ってアドレナリンも活性化できたし、ポジティブパワーも補給した。明日から そして来年も またがんばるぞお! 次回のGirls Night Outを 日々の糧に。

でも その前に、もう一件 寄っちゃう?


Kiki



Laurelhurst Market
3155 E. Burnside, Portland OR 97214
503-206-3097  


Posted on 夕焼け新聞 2012年1月号

Saturday, April 21, 2012

おいしい話 No. 57「ある関係」



ダウンタウンのチャイニーズレストラン「Mandarin Cove」で 日本人の友達と一緒にランチを取ろうと待ち合わせをした。
「元気―? 久しぶりだねー。仕事どう?」なんて 数週間ぶりの再会に盛り上がりながらテーブルについた。
中国人のウエートレスがお水を持ってきた時も、注文を取りに来た時も、最初のEgg Soupを運んできた時も、興奮している友達と私は 日本語で 大声でしゃべりまくっていた。
そこにまた同じウエートレスが私達のテーブルに近寄ってきた。
私の注文した大好物の「House Special Fried Rice」が 運ばれてきた!と、思いきや、それは 小皿にこんもりと盛られたキムチだった。
注文もしていなければ、メニューにキムチの一品をみたこともない。
ウエートレスは それをテーブルの真ん中にちょこんと置き、「It is on the house」と言う。
チャイニーズレストランにキムチ。この全く予期していなかった出来事に衝撃を受けた私達は、ただポカンと口を開け、そこに立つウエートレスを見上げていた。
Thank you」という一言もまともに出てこない状態の私達に、そのウエートレスが中国なまりの英語でこう説明した。
「いやー 最初は あんた達のこと中国人かと思ってたけど、しゃべっているのを聞いたら、違う違う、韓国人じゃないの、と解ったのよ。」
私と友達は 無言のまま お互いの丸くなった目を見合わせた。
でも、とっさに、いや実は私達日本人なんです、などという野暮な訂正を試みると、このせっかく登場した タダのキムチを持って行かれるんじゃないかという恐れから、ウエートレスに元気なお礼と共に はちきれそうな笑顔を返した。彼女も満足顔で頷いた。

このキムチが半端なく美味しかった。
明らかに中国人で回っているこのレストラン、奥の見えないキッチンでは、韓国人のおかんが、せっせと秘蔵のキムチを漬けているのか。手作りの温かいぬくもりを感じるこの韓国産キムチの味は、(あくまでも偏見ですが)中国人が作っているとは思えなかった。
しかし、ここにはもうすでに何回も来ているのに、一度も秘密のキムチのサービスなど受けたことなかったぞ。韓国人という判定をされた時だけ受けられる特別待遇なわけ? そもそも何故、キムチがこの店にあり、そんなサービスがあるのか。 
先日、仕事が終わったハビーから、今夜はチャイニースのTake outにしよう、僕が何かみつくろって買って帰るから、という電話が入った。とってもチャイニーズのムードなんだと言うハビーに、店も品も指定せず、すべてを任せた。

インターネットでリサーチした後、かなりいい評価を受けているという「Frank’s Noodle House」が、彼の今夜のチョイスとなった。Spicy Handmade NoodlesHandmade Dumplings, そしてStir Fried Bok Choy
この店は このHandmade Noodlesが売りのようだ。
テーブルにこれらのTo Go Boxを並べ、蓋を開けて中身をチェック。まだ温かい料理から 湯気がふわーっと立ち上がる。お、やっぱりBok Choyは私が思っていた野菜だったわ、Dumplingもなかなか、ハンドメイドらしい形をしているじゃない、そして、Stir Fried Noodlesが、赤いぞ。

取り皿に盛ろうと、箸でヌードルをすくい上げる。ハンドメイドのヌードルは、むしろ ハンドメイドのうどんのようだ。そして 盛り上がるスパイシーな匂い。私の目が、探偵のそれのように細くなる。がぶりと一口いく。キムチ味だ。

いったい、チャイニーズとキムチの関係は ナンなのか。そして、そのコンビネーションが何故にそこまで 私にとってショッキングなのか。ひな祭りの五段飾りのお雛様の下に、フランス人形が一体座っているような、厳かな能の舞台に 白鳥の湖のバレリーナが 白いタイツで舞い込んできたような、そんな違和感を感じる私。人形は人形、踊りは踊り、文化も人種も、世界の中で溶け合って生きていかなければならない今の世の中、そんな小さいことにいちいち反応する 小さい人間になってちゃあ いけないのではないか。などと言って 自分を嗜める。

「キムチは漬物でしょう!?」と思っていた私が、「豚キムチ炒め」を許せるようになったのだから、そのうち このチャイニーズとキムチの関係も、受け入れられるようになると期待したい。


Kiki



Mandarin Cove
111 SW Columbia St
Portland, OR 97201
(503) 222-0006


Frank’s Noodle House
822 NE Broadway
Portland, OR 97232
(503) 288-1007


Posted on 夕焼け新聞 2011年12月号

Monday, April 9, 2012

おいしい話 No. 56「Global Position Systemの必要性」

私には どうしても相性の悪いエリアがある。HillsdaleMultnomah Village界隈。NEに住んでいる私は、SWに行くことは ほとんどない、この界隈に住んでいる友人Yに誘われない限りは。

Yは、何度か引越しを繰り返しているが、いつもHillsdaleMultnomah Village界隈に居を決める。住めば都、私にとっては Mazeでも、彼女には 一番住みやすい場所のようである。

パーティー好きなYは よくいろんなパーティーを企画して お家に招待してくれる。彼女がHillsdaleの一軒屋に住んでた時、鍋パーティーに呼ばれた。初めてのHillsdale, 夜の住宅街は真っ暗だった。地図に示された場所を何度も何度も行ったり来たりするけど どうしても見つからない。ちょうど同じく御呼ばれした友人達が通りを歩いているのを捕まえて なんとか辿り着けた。次に新しく移ったアパートで行うポットラックパーティ。「前の家からすごく近い」と言われても、それがわからない。また同じ通りを行ったり来たりを繰り返し、やっと到着。その後、新しいルームメートとMultnomah Villageに住み始めた彼女、日本から遊びに来た親友の歓迎会を開いた。やっぱりここにもすんなりと辿りつけず、切れる寸前。

そして先日、Yから新たなInvitationが送られてきた。「Multnomah VillageLucky Labでパンプキンのカービングをするからおいでよ!」ハロウィーンよろしく背中に冷汗が流れ、動悸が激しくなった。また 呪われの界隈ですか。
Directionには強く、Mapを一回見て 交差する通りの名前をメモするだけで、迷うことなく目的地に辿り着ける私だけど、この界隈だけは なぜか、そうはいかない。

GoogleMultnomah VillageLucky Labを検索する。出てきたMapを広げて 位置を確認。オッケー、I-5Southで、296Bの出口で降り、Multnomah Blvdに乗ればいいのね。Multnomah Villageは、Yの友人のBBQパーティーに行った時に 充分 グルグル回ったので、明確にイメージできるわ。Lucky LabはそこからCapital Hwyに乗ればいいわけでしょ。頭の中に I-5からLucky Labまでの道のりがキレイに一本線でプリントされた。

今回はイケル、と思ったその自信と、インプットされたルートが砂に書いた絵のように消えたのは、296Bの出口閉鎖表示を見た時。え、え、え、?あれ? 次の出口296Aで降りた私は、Barlur Blvdを走っていた。まだ同じエリアだろうし、いつかMultnomah Blvdにのれるはず。暗闇のラッシュアワーの中、必死に目を凝らして、通りのサインを確認しようとするが、なかなか読み取れない。は、シマッタ、さっきの通りだったかもしれない。どこかで曲がるべきなのだろうけど、ヘッドライトを煌々とさせ、隙間無く連なり動く車の壁を打ち破れない。やっと曲がった時には、「ここはどこ?」状態。位置感覚をすっかり失っていた。

Yに電話して誘導を願うが、これまた毎度同じく、方向音痴の彼女と自分がどこにいるか確定できな私の会話は、GPS故障状態だった。気が付いたら、Capital Hwyのサインが現れた。そのことを彼女に告げると、「あ、Hillsdaleにいるの?そうすると私の前のアパートの近くだと思うから、ポートランド向けに走って、、、、」という説明。スマートフォンがあれば、このAnxietyは起こらないのだろうね。

例に漏れることなく、今回もさんざん行ったり来たり、ぐるぐる回って やっとLucky Labに到着。ビールが旨いことといったらなかった。ローストガーリックがたっぷり乗ったべジタブルピザが、ゆっくりと腹に落ち着いていく。はあ、よく名前は聞いてたけど、普通のバーとなんら変わりないじゃない。ビールがあってピザがあって。

後にハビー曰く、あのバーはDog Friendlyなんだよ、店の名前が記すように。「Lucky Labrador」って言うでしょ。
はっ、Lucky Labって、「Lucky Laboratory」だと思っていた。

私を筆頭に、その日集まった仲間がデザインを考え、男たちの手によりカービングされた巨大パンプキンが、Multnomah VillageLucky Labのカウンターに飾られている。11月の始めまでは 観賞することができるのでは。是非、この界隈との相性、お試しあれ。

Kiki




LUCKY LABRADOR PUBLIC HOUSE
7675 SW Capitol Hwy.
Portland, OR 97219

(503) 244-2537
 
 
 
Posted on 夕焼け新聞 2011年11月号