食べることが大好きなハビー(旦那さま)と私は いろんなレストランに行って いろんなメニューにトライしてウンチクをたれるのが大好き。まるでプロのフードクリティック気取りで、(のわりには大口でもぐもぐと頬張りながら)、様々な料理の出来栄えとその値段にいちいち批評をつける。時には店の雰囲気やサーバーのキャラクターにまで 勝手なコメントが二人の間でヒソヒソと飛び交う。読者の皆様も経験有りとは思うが、その会話が食事に色を添え、楽しいひと時と化していくのだ。少なくともハビーと私はそれを楽しんでいる。
先日、“結婚してもいつまでも恋人気分で”を実行する為に ポートランドのダウンタウンにあるフォンドューで有名な「メルティングポット」に久々のデートに出かけた。
几帳面な二人は予約の時間キッカリに到着。テーブルを待つ間、バーで大好きなマティーニを注文し、キョロキョロと店内の雰囲気を観察。バーエリアにあるテーブルを見て 平らな台の真ん中が埋め込み式電気コンロになっているんだあ、と発見。ちっちゃい鍋の底をアルコールランプのようなもので温めるという雑誌とかに出てくるような かわいらしい絵を描いていたけど、どうやらここはもうちょっとハイテクらしい。
ダイニングエリアのテーブルは個室的に壁で仕切られ、照明も少し暗めに落とされており、密で落ち着いた雰囲気を演出している。私たちが案内されたテーブルも三方が壁で囲まれており、お隣のテーブルのお客さんと目がバチッ、なんてこともなく、プライベートでCozyな心地よさが保たれる。まさにデートにはもってこいのセッティングではないだろうか。
久々の外食で しかもデートということなので (本当はハビーのおごりなので)奮発して“Big Night Out”というコースを贅沢に楽しむことに決定。まずはサラダの選択を“Copped Caeser Salad”に。期待感いっぱいでちょっとした興奮状態だったテンションがごく普通のCaeser Saladの登場に少し下降する。料理紹介内容を読んで 勝手にすごい絵を描きがちな私達カップルが時々陥る所だわ。
コース第一段のフォンドューはチーズから。チーズが大好きな私は本場スイスで味わっている気分を演出したく、その名も解り易く“Traditional Swiss Cheese Fondue”を5種類のチーズのセレクションから選ぶ。フォンドュー作りベテラン風サーバーが手際よく鍋をセットし、たっぷりのチーズと白ワインを入れて手際よく掻き混ぜる。う~ん、トロケルチーズの香りが放ち始めた所で、昔テレビで見たスイスの農家の夕食風景が浮かびあがる。あの時どんなにそこの家を訪ねたいと思ったことか。彼らの飲んでた赤ワインも旨そうだったなあ、ということでStangeland SalemのPinor Noirをグラスで注文。
ディッピングアイテムの中で意外だったのがリンゴ。えー、リンゴとチーズ!?と思いきや、へー、リンゴとチーズねえ、とすっかり気に入ってしまった。お試しあれ。
フォンドュー第二段は3つのセレクションの中からロブスター、サーロインステーキ、海老、鶏、ラビオリなどがセットとなった“Lobster Indulgence”を選び、“Coq au Vin”という赤ワインをベースとした出汁に 鍋のように煮ながら食べるのだ。煮詰まってくるとちょっと塩辛くなってくるのでご注意。オイルフォンドューで揚げ物にすればよかったとハビーに軽く訴える。
このコースを平らげるとかなりの満腹感がやってきて、第三段コースのチョコレートの鍋がセットされるのを目にするのは結構なプレッシャーである。が、しかし、削りおろされたチョコレートが円やかに、滑らかに、艶を出しながら溶けていくのを見ると、「別腹」がその戸口を空け始める。イチゴはもちろん、小さく切ったスポンジケーキなどがディッピングに用意されたが、私が一番おいしいと思ったのはバナナ。このバナナのチョコレート付けが赤ワインと良く合う!
ちょっぴりおしゃれしたワンピースのボタンが 弾け飛びそうな際どい所で 当コース終了。気が付けば、軽く3時間晩餐していた私達。気の合う相手となら あっという間に過ぎるであろうが、あんまり相手を知らない初デートなどには お勧めできないかもしれない、というのがハビーと私の意見。すごい料理の量に 3方囲まれたテーブルから3時間抜けられない、というのは相性の合わないカップルにはキツイはず。グループでわいわいと色々な種類のフォンドューをシェアし合うのも楽しいかも。
Kiki
Melting Pot
Downtown at the corner of SW Sixth Avenue & Main Street, Portland, OR 97204
(503) 517-8960
Posted on 夕焼け新聞 2007年4月号
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