Sunday, January 30, 2011

おいしい話 NO.2「愛がきらめくポートランド シティ グリル」


女の子でも 男の子でも、新しい恋人ができると自分たちのベストフレンドに紹介したいもの。特にそのベストフレンドがすでに恋人がいたり 結婚している場合は、しばしCouple’s date(所謂 合同デート または ダブルデート)がセットアップされる。それは新しくできた恋人がどんなにCoolHotかを見せ付けるため、これからも長年付き合っていく自分のベストフレンドと馬が合うかを査定するため、そしてそのベストフレンドがどういう評価を下すかを後でこっそり探り出し、自分の選択が正しかったかどうか再度考慮する機会を持つために とても大事なトラディッションである。

先日、シアトルに住むベストフレンドの一人より突然、新しい恋人ができ、その彼を紹介するために3日後にポートランドに一泊旅行を兼ねて 私とハビーを訪ねる、という報告を受けた。「是非 一緒に食事を!」と。
おしゃれに敏感で、トレンディーなスポットが大好きな彼女に どこかお勧めのレストランは、と聞かれた時には 妙なプレッシャーがかかり まったく思い浮かばなかった私。すると彼女が、一年以上前にポートランドに来た時に  私がハッピーアワーに連れて行った「ポートランド シティ グリル」はどうか、と提案してきた。
ダウンタウンにあるUnico/US Bancorp Tower30階フロアーにあるこのレストランはそこからの展望を売りとしており、日中は カスケード山脈を背景にポートランド市内とその中心を流れるウイリアメット川をパノラマサイズで、そして 日が落ちると 宝石箱を開けたようなきらめく夜景をロマンティックに楽しむ事ができる。
そういえば 違う州や、日本から誰かがやってくる度に とりあえず無難な線で連れて行くのがこのレストランだった、と思い出した。人間というものは不思議なもので、ちょっと地上より高い所で 開けた景色を見ながら食事ができると、とってもご機嫌になり、それが夜景ともなるともっとハッピーになるのである。
よし、これは簡単で考えなくてもいいぞ、と即決。彼らもエンジョイすること間違いなし。

今までは バーエリアで行われるハッピーアワーにしか行ったことがなく、この時間帯の混みようは半端ない。運が悪い、または もたついていると、テーブル取り合戦に負け、長時間待ちを強いられることになる。
しかし今回は せっかくのお披露目の場ということなので お上品にダイニングでテーブルを予約することにした。
始めてダイニングルームに足を踏み入れたハビーと私はそのそのゴージャスな雰囲気に「ワォー」という感じだった。想像していたよりも随分広く、キャンドルライトと一面に広がる窓からの夜景が、照明が落とされた部屋の中でキラキラと浮き立っており、ジャズと人々の会話と食事を取る食器の音が効果的に演出を加える。ハビーにちゃんとしたシャツを着せてきてよかったとホッとする私。

渡されたメニューの中に巻き寿司や握りのセレクションを見つけ、ちょっとした疑惑がハビーと私の中に浮上。NW風シーフード料理やステーキを売りにしている店で、寿司のメニューがあっていいのか。ちょいとうさんくさい。なんでも寿司をいれりゃいいてもんじゃないんだ と、小言を2,3入れてみたが、まだ登場しない友人カップルを待つこともなく マティーニと「Rainbow Roll」を前菜として注文。結構いける味だった。
ハウスヴォッカのマティーニが旨い!と歓喜している所に 注目カップルがついに登場。万遍の笑顔と共に緊張の紹介が始まる。電話上で彼女から どんなに彼がSexyHotかを聞いていたため、本当にSexyHotな男を想像していた私は、人間の好みの違いを再確認。恋愛ってすばらしい。
あまり空腹でなかった私達はサラダとシーフードのパスタ料理をシェアすることにし、注文の際にそれをサーバーに伝えると ちゃんと二つのお皿に分けてサーブしてくれた。幸せ一杯の真新しいカップルの手前、お手本になるべき私達が どっちが多く食べたと言い争うこともなく、ゆっくりと上品に食事ができて 非常によかった。
高層ビルの上階にあるレストランにしては以外に美味しい料理、甘いカクテル、美しい夜景と、必要以上に連発されるジョークと笑いが、この夜の雰囲気を盛り上げたのか、当カップルの気分は上々。
彼がトイレに席を立った時、彼女がすかさず私に聞いてきた。
「どう、彼?」
「今までの男達の中では 一番いい印象だね。」
彼女の目が更にとろけ、大きなニンマリ笑顔はじけた。


Kiki


Portland City Grill
30th Floor
Unico/US Bancorp Tower

111 SW Fifth Avenue
Portland, Oregon  97204
5034500030

Posted on 夕焼け新聞 2007年5月号

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