もうすっかりべジ主体の食生活になっている私だけど、基本、精神はゆるいので、我がベジタリアンポリシーはそこまで厳格ではない。 特に「Grass-fed」を謳った牛肉や、「Free
range」の鶏肉、「Wild caught」の魚には、簡単にポリシーが崩される。 Portlandは得にそれを打ち出して宣伝するレストランが多く、こういう説明をメニューに見ると単純に安心し、よし、食ってみるか、と思う。
そんな私の最近のマイブームがハンバーガー。もうすでに巷のハンバーガーブームは終わっているような気もするが、私の中で単独盛り上がっている。ベジタリアン悪しからずのマイブームだけど。
しかし、いつからハンバーガーが ファンシーになったんだろうね。NWのちょっと洒落たレストランで$10以下のハンバーガーは ほぼ見かけない、っていうすごい現状。「Grass-fed」の牛肉など更に$2-3上乗せされる。
以前は そういう洒落たレストランがハンバーガーをメニューに載せている事が理解できなかった。ハンバーガーはファーストフードチェーンのテリトリーであって、そこに任せておけばいいじゃないか、誰が2倍以上のお金を払ってハンバーガーを食べるもんか、バカバカしい!と思っていた。でも ハンバーガーが大好きなアメリカ人、日本人がラーメンを極め続けるのと同じように、彼らもアメリカ人の肉と血であるハンバーガーを極めて行きたいんだろうね。確かに、クオリティーは、ファーストフードチェーンのそれと比較しちゃあいかんのはわかる。ローカルのオーガニック野菜、Grass-fedの牛肉、その日に焼かれたバンなど、材料の質の高さと共に、肉の仕込みや、焼き方などにこだわっているようなら、シェフの情熱、時間とLaborに対して ふさわしい対価を払っているということになる。大量に生産されたカビの生えないバンに冷凍のパテ、ほとんど野菜抜きのハンバーガーにお金を払っている事の方が バカバカしい!はず。
そう心をオープンにして$10-15のハンバーガーを注文した後に、ちょっとパッションたりないんじゃないのぉ?と思う一品を出されると、怒り度は2倍になるんだけどね。
Yakuzaのハンバーガーは昔から美味しいと聞いていた。借りにもYakuzaと名前を打って、日本食ヒュージョンの料理を出している中で、なぜハンバーガーを入れなきゃいけない?と やや対抗的な意識を持ち、今までそこを避けて他の物ばかり注文してきた。でもマイブームが起こってから、「Give
it a try」と決心し、ハンバーガーを食べるべく、出向いた。Yakuza Burger $15。出ましたこの値段。でも、巷の噂は正しかった。確かに旨かった。シェフの情熱感じたよ。難を一つ上げるとすれば、私の好みに対して、バンがちょっと厚めだった事かな。
Little BirdのDouble
Brie Burger $14、肉がとってもジューシーだった。かぶりつくと肉汁が滴り落ち、顔も手も油まみれ。デートにはちょっとどうでしょう。私好みのミディアムレアからレアよりで、肉の鮮度の高さがわかる感じだった。問題はバンが肉汁ですぐSoggyになってしまった事かしら。
私のマイブーム最高位に立つハンバーガーは Basta
TrattoriaのBasta Burger $10。元々の発生地はイタリアという、Grass-fedで育てられたPiedmonteseという種の牛肉に、Genovese
Focacciaというバンを使っている。このバンが、ピザの生地を思わせるような、弾力のあるモチモチとした食感で、思いがけず、肉の味を引き立たせる。通常のハンバーガー用バンは、ドライでパサパサした物が多く、全体の味に対して減点要素になりがちだが、Genovese
FocacciaはSoggyになる事もなく、忘れられない存在感を出している。完全に心を打たれ、病み付きになった私はハッピーアワー価格$7を狙って行く。Bacon,
Avocado, Smoked Mozzarellaをそれぞれ$1で追加できる。
そして最後に幻のSoul Kitchenのハンバーガー。これは通常のDinner
menuには無く、Pono Farmからそれ用の肉が入った時だけ、ハッピーアワーにだけ登場する。だから 運が良ければ出会えるし、運が悪いとご賞味できない。運の良かった私は、その幻のハンバーガーに出会う事ができた。とってもデリケートで柔らかく、油の乗りも調度の加減でシツコクなく、肉の美味しさが全面に出ているシロモノだった。あのハンバーガーにまたお会いしたいと思う。でも、そんなに運が良いわけではなく、あの1度きり。夢にでてきそう。手前に電話して確認するべし。
その他色々なレストランのハンバーガーを試したが、8割方、心を閉ざされる。パッションが伝わってこない。料理は愛情とはよく言ったもので、愛情を感じない品は、美味しさを感じない。たとえファンシーなレストランであろうと、有名なシェフであろうと。私はハンバーガーという一品にチャンスを与えた。そして これからも与え続けるだろう。この街のどこかで、誰かが、愛情とパッションを持って その味を極めて行き続ける限り、私のマイブームは終わらない。
80%ベジタリアンの大宣言。
Posted on夕焼け新聞 2016年4月号
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