2008年のクリスマスは 大雪のため どこにも出かけられなかった。クリスマス イブの朝、窓のブラインドを開けると、まだ がっつり積もった雪がすべての景色を真っ白にしたまんまで、「わーい これがホントのホワイトクリスマスだー」とワクワクしたけれど、同時に 「あれ、食料の買出し どうしよう」という不安も沸きあがってきた。
うちに2台ある車は山盛りの雪を被って ここ一週間使用されていない。チェーンはトランクに乗っかったまま。「どこにも出かけられなかった」というよりも、面倒くさがり屋のハビーと私は、チェーンを着けるという「大作業」をしてまで この大雪の中 どこかにドライブしようとは思わなかった、というのが真相。
が、しかし クリスマスだというのに、インスタントラーメンでしのぐのは味気ないではないか。なんとかして食料の買出しには行きたい。最初、某大型マーケットへ行くことを考えた。私のアイデアにノリの悪いハビーが、しぶしぶそこに行くまでのバスのルートを調べた。2本のバスが近くを走るようだが、今日は運行停止になっているという。ものすごい遠回りをするバスやMaxを乗り継いで 何ブロックか歩くルートならあるようだが、想像するだけでクタクタになった。 どうやら うちのNeighborhoodから出られそうになさそうだ。
そこで思いついたのが、歩いて20ブロックほど先にあるローカルのマーケットに行く、ということ。あんまり行くことのないそのマーケットの存在をすっかり忘れていた。うちとそのマーケットを繋ぐAlberta Streetにはバスが1本通っているから うまく行けばそれに飛び乗れる、という設定で、完全防備、リサイクルの買い物バッグを手に出発した。
見慣れたローカルの通りも、こうやって雪を被るとまた景色が違って見え、行き交う人々も この異常気象を楽しんでいるようだった。いつも行列が出来ているカフェやレストランも今日は、真の地元陣だけでゆったりと時間を過ごしているのが窓の外から窺えた。どこにも行けないAlbertaに住む地元人のために この通りの両側に立つビジネスがちゃんとオープンしているだ、と感慨。いやー、助け合いのコミュニティーとは いいもんだ。
そんなわけで 食料の買い物という大事なミッションがあるにもかかわらず、行く先々に誘惑の「オープン」サインが、私達を寄り道へと導く。まずは、炒ったコーヒーの香りと焼きたてのペイストリーの香りに誘われて、フレンチベーカリーに立ち寄った。クリスマスの朝に食べるペーストリーとデザートのパイを買い、試食用に出されたケーキのスライスを摘む。次は お茶好きな義理パパのために何か特別なお茶はないかと、ティーショップに入る。カウンターに立つお兄さんとお茶ッ葉についての語りに熱が入る。こんな雪の寒い日は やはり、暖かい部屋で映画鑑賞でしょう、ということで ビデオ屋に足を進める。3本借りると4本目はタダと言われて、店の隅で円陣を組み、真剣にDVDの選択が行われる。
朝食抜きで ここまで歩いてくるとさすがに腹も減ってきた。マーケットまで無事辿り着くには、腹ごしらえが必要、ということで、ハビーと私の行きつけのバーBinksに立ち寄る。ここのピザを考えると、もう食べないで通り過ぎるということは私達には不可能なのだ。このバーも普段は押し合い、揉み合いの混雑ぶりなのに、今日は近所の徒歩組みだけでリラックスした時間が流れていた。顔見知りのバーテンダー、Marthaが笑顔で迎えてくれる。毎回飽きもせず、同じみのグリークピザを注文。休みの特権だということで、午後1時、まだ果たされていないお使いミッションをビールで乾杯。
別にMarthaにビールを奢って貰ったからというわけではないが、自分のコミュニティーを愛することはいいことだなあ、と Binksを出た後、うまい具合に通りかかったバスに飛び乗りながら しみじみと思った。地元の人々とビジネスとの密着した相互関係がその町を強く暖かいコミュニティーにしていくんだな。そんなわけで マーケットに着く前にもう一軒、地元貢献の名の下に、リカーショップに立ち寄る。やっぱり、美味いウォッカ無しでは、雪に埋もれた長い夜は過ごせないでしょう。
Kiki
Binks
2715 NE Alberta St
Portland, OR 97211
Phone: (503) 493-4430
Posted on 夕焼け新聞 2009年1月号
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