ハビーが一ヶ月ほど前、友人のカメラマンの穴埋めで、急遽ある撮影に借り出された。それはフィットネススタジオのWorkoutメニューの紹介ビデオだった。ただカメラをセットして インストラクターの動きを正面から撮影しただけだから、別にこれと言って編集するところもないんだけどね、と言いながら、家に帰ってきたハビーが映像をコンピュータに落としていた。
エクササイズかあ。最近ものすごく必要性を感じているんだよね、と中年腹xビール腹を見下ろす。 こうやってカウチに座っていると、俵のように盛り上がる下腹。脂肪だけで ぶよぶよとたるんでジェリーの状態。「ふっ!」と勢いで引っ込めてみても、筋肉がないもんだから コントロールが効かない。こんな状態で、このままトシをとっていっていいものだろうか。
今本気で運動を始めないと、5年後、10年後には、とんでもない事になっているのではないか。恐怖が胸を支配し始めた。もちろん、老化を誰も止められないのはわかっている。どんなに整形したって、老化はいつもその整形顔から飛び出して、年の匂いを放っているものだ。だったら、ゆっくりと、綺麗に年を取っていきたい。ダイアン レインのように。明らかにもう若くないが、それでも加齢臭ではなく、美しさや輝きが放たれる。そんな歳のとり方をしなければ。そして 今腰をあげないと、手遅れになる!
エイヤッ、と腰をあげ、ハビーのコンピューターまで 体を移動。「どんなエクササイズなの?」
それはPortlandの女性が開発した、ヨガとピラテとバレエが組み合わさった、エクササイズだった。タイツをはいたインストラクターが、後ろに控えるモデル2人を、軽快な口調で促していく。その編集完成作品に目が釘付け。映像ではなく、このエクササイズのメニューの完成度に、驚いた。
ここで私がどういうエクササイズかを説明するよりも、是非Websiteで一見して頂きたい。美しい姿のモデル達が、足をぴーんとそりあげて、アップ アンド ダウン、アップ アンド ダウン。スクワットをして おケツを アップ アンド ダウン、アップ アンド ダウン。
これは すごい、と 思った。
このエクササイズは ジムで えっさほっさとウエイトを上げて、筋肉ムキムキになる運動ではなくて、綺麗に脂肪を落とし、ほっそりとした筋肉をつけられる動きだ!
とたんに、早くもこの夏には、美しくシェイプアップし、セクシーに筋肉をつけた自分の姿がイメージできた。
「I am going to do it!」
ハビーに大宣言し、スタジオの名前を聞いた。その名は「Barre3」。
Websiteに行き、クラスのスケジュールの予約を入れる。
それと同時に、Barre3のリンクを女友達に一斉送信。
「この夏は 私はキラーボディーになり、ビーチでブイブイ言わせるカラダになるからね!」というメッセージを添える。「そして、新しいビキニも新調しちゃうわ!」
同世代の女達が それに即反応。「なぬっ?!」
本当にこの夏そういうカラダになっている私を想像した彼女らが 黙っているわけない。「I’m in too!!」
まずは 初回入会者用の 3回$40から始める。
Pearl Districtのスタジオで 最初に受けたのは Meeganのクラス。1パウンドのウエイトを持って 腕を伸ばし、上下に動かす。それと同時に中腰の腰を上下に動かす。「Small move. Just one inch, one inch. Tiny move girls!」
バーに捕まり、つま先で立ち、そのまま中腰に腰を下げ、それを上下に動かす。四つんばいになり、ピラテのボールのバレーボールサイズを膝の裏に挟んで、宙で 上下に動かす。
膝の裏や内側、脇や下腹、腰の下部など、使ってない筋肉が、たたき起こされ、びっくりして プルプルしている。
遠いカウントダウンの中、「うぉー、、、。」という情けない声が、体から漏れる。
なんて女性の体のタルミをわかったエクササイズなんだろう。女性がどこをどういう風に締めたいか、ちゃんとわかっているメニューだ。Meeganのあのぷりっとしたおケツになる日も遠くない。
歳を取る恐怖心て、女性をDesperateにするものなのね。でも、すべては自尊心の問題なの。「人の目」じゃなくて、「自分の目」なのよ。自分が、歳を取っていく自分を好きであることが、一番大事なのです。
ということで、私のBarre3熱は、同じくDesperateな女友達と 暫く続きそうな感じ。目指せ Happy Aging!!
Kiki
Barre3
Posted on 夕焼け新聞 2012年7月号
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