どれだけの人が スパゲティー スクワッシュの存在を知っているのだろう。
アタシは半年前まで知らなかった。
友達と「OX」にご飯を食べに行った時に、メニューに「スパゲティー スクワッシュ ガーリックバター アンド パルメザンチーズ」みたいな名前の一品があった。グルテンフリーとして、スクワッシュをズッキーニやビーツみたいにスパゲティー状にシュレッドして料理したものだと想像し、それを注文した。
繊細なほど細いスパゲティー状のスクワッシュが、黄色いスクワッシュの殻を皿替わりに盛り付けられて出て来た。
そこまではいいよ。
まあキレイにシュレッドして、なんて思いながら食べていたら、その繊維がその黄色いスクワッシュの皮の内側からピロピロと出てきているのが見えた。えっ!?
もしかして、これって人工でシュレッドしたわけじゃなく、ナチュラルにこういう状態に発育しているわけ?!?!
この驚きを向かいに座っている友達に投げつけた。
「そうだよ、そういう風にすでになっているスクワッシュ」だよ。
衝撃だった。この植物の存在、全く知らなかった。
すごい、凄すぎる! なんだか知らないが、非常に感動した。
すっかり秋になった今日この頃、マーケットの店先にも沢山スクワッシュが出始めてきた。そういえば あのスパゲッティ スクワッシュもあるのかな、と思っていたら、テレビのフードネットワークで、スパゲッティ スクワッシュの料理の仕方を説明していた。よし、作ってやる!と思い立ち、Whole Foodsまで探しに行った。自分で見分けがつけられるのかな、と思っていたら、ちゃんと値札に「Spaghetti Squash」と書いてあった。
スパゲッティ スクワッシュの長い方を軸に半分に切り、種を取り除く。
切った方を下に伏せてオーブン用のコンテイナーに並べる。水を少し入れて、アルミホイルでカバーし、400度で40分ほどオーブンで焼く。
この間、トマトソースを作る。
鍋にオリーブオイル、ニンニクを入れて炒める。ニンニクは多いほど美味しいので、私は丸ごと一個分入れる。マッシュルームも入れて炒める。よく熟した大きめのHeirloom Tomatoを2個、ざく切りにして鍋に放り込む。イタリアンドライハーブのミックスを入れ、シーソルトとコショウする。トマトペーストと赤ワインも入れて中火で煮込む。トマトソースのレシピを見ると たいがい砂糖を入れるとあるけれど、熟したHeirloom Tomatoを使うと 酸味もキツくなく、とっても甘みがあるので、砂糖は全く入れなくていい。
オーブンが40分経って チーンと鳴った時には トマトソースも出来上がっている。トマトソースって 色々入れて すごい時間かけて煮込むものと思っていたけど、実はこんな風にとっても簡単に美味しくできちゃうのだ。私はもう随分、缶や瓶のトマトソースを使っていない。最後にフレッシュバジルを入れて火を止める。
スクワッシュをオーブンから出して、スプーンやフォークで身を掘り起こすと、Tad-ahー!キレイなスパゲッティ状の繊維が出て来る出て来る。
これを一旦ボウルに入れ、オリーブオイル、シーソルト、コショウで軽く味付けし、スクワッシュの殻に戻す。別で炒めたエビを並べ、トマトソースを掛け、チーズ、パセリ、パン粉替わりにカリフラワーのみじん切りを振りかける。これをまたオーブンに戻し、チーズが溶けて表面がブラン色になるまで焼く。
いや、これが旨いのなんのって。スパゲッティ スクワッシュは画期的な野菜だと、自分で作って改めて感動している私。こんな風にスパゲティー状の身を持って育つなんて、ほんとんどミラクルだわ。
出されたお皿を見つめながら、フォークを握り、「本当にスパゲティーだ」と呟くハビー。ハビーは、子供の頃、これにブラウンシュガーとバターを乗せて食べていたとか。こんな風に本当に「スパゲティー扱い」をして食べたのは始めてだ、と感動していた。私にはブラウンシュガーとバターの方がわからん、と思った。
スパゲティー スクワッシュは 色々な味付けで 幅広い用途があると思う。ガーリックバターとか、クリームソースとか、バジルのペストなんかの味付けにしてもいいし、チキンスープに入れて ヌードルスープ風にしても美味しいと思う。
栄養面としては、細胞の働きを最大に促すナイアシンやチアミンなどのビタミンB系が多く、身体の抵抗力機能を上げ、抗酸化作用のあるビタミンCも含まれている。また、カルシウム、鉄、ポタジウム、リンなどのミネラルも豊富だ。
この秋は スパゲティー スクワッシュにはまりそうだわ。
Kiki
Posted on 夕焼け新聞 2016年11月号
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