先日、1月16日に行われた、Yuuyake Shimbun主催の「コミュニティー新年会」に行ってきた。2010年の新年会ということで、集まった人たちが一緒に映画を見て楽しむ、という趣向。なにやら入場料はタダ、スナックや飲み物もタダというわけで、普段 腰の非常に重い私も、簡単にお誘いにノッてしまった。
会場は 宇和島屋の近くにあるKyokushin Karate Dojo。お隣でIto Clinicを開業している伊藤さんが、この道場で空手を教えているとか。練習を終えたばかりなのか、胴着を着たちびっ子達が 他のちびっ子達と交って走りまわっている。親御さんたちや Yuuyake Shimbunの広告を見て集まった人達が 賑やかに交流をしている中に 私も飛び入りでおじゃました。
今夜のメインイベントは 映画鑑賞。あの有名な宮崎駿監督の「ハウルの動く城」が上映される。子供の頃は 世界名作劇場(元カルピスこども劇場)の「赤毛のアン」「アルプスの少女ハイジ」「フランダースの犬」などお馴染みのアニメを毎日くらいつくように見ていたのに、大人になってからは あまり興味を持たなくなってしまった。映画館に足を踏み入れることもなく、DVDを自ら借りることもなく、アニメから すっかり遠のいていたので、こういう機会はとても新鮮に思えた。
上映前に 歓談している参加者を中央に集め、伊藤さんから コミュニティー代表としてのスピーチがあった。地域で活躍しているビジネスがスポンサーとなり、こういう企画を考案、実行し、地域の人々の交流、絆をどんどん深めて行きたい、というのが本来の目的とおっしゃる。そういう希望に溢れる意志に、私はちょっと驚いた。日本に居たって 地域の交流を、なんて言ってる所は少ないのに。ましてや 個人主義のここアメリカにバラバラに住んでいる日本人の間で、そういう意識を強く持って 実際に行動を起こしているなんて。
プロジェクターの光が 道場の白い壁に映し出された。いよいよ上映が始まるようだ。興奮したちびっ子達に混じって私も スクリーンの前に陣取る。そして 茶色い紙袋に入ったスナックが参加者全員に配られた。「あら わたくしにも頂けるなんて?」と 大人ぶってみたものの、一旦その紙袋を手にすると、子供の頃に感じた「嬉しい」気持ちがグッと沸いて来て、にんまり笑いを抑えることは出来なかった。
部屋の電気が落とされ、いよいよ映画が始まった。待っていられない子供達がさっそく袋をガザゴソと開けて ボリボリとスナックをかじる音が響く。私も暗闇をいいことに こっそり自分の袋を開いて 中身を確かめる。おせんべいに「うまい棒」に「チュッパチャップス」(知ってます??)、そして小分けにジップロックに入れられた「かっぱえびせん」などバラエティーにとんだお菓子が入っていた。それを見て私は更にグググッときてしまった。なんて子供心をくすぐるおやつ袋なんだろう! 大人のはずの私も すっかりくすぐられてしまった。
マットレスで敷き詰めれられた道場の床に体育座りし、スクリーンのアニメを食い入るように見ながらも、お菓子を口に持っていく手は休まない。私は自分の子供時代にタイムスリップしたような気がした。
私の子供のころは 近所に公民館があり、地域の交流の場としてよく利用されていた。新年会、節分、ひな祭りに、子供の日、七夕祭りに、お月見、そしてクリスマス会と、地区会の会長を筆頭に親達が計画を立て、年中行事がそこで行われていた。それらの行事を通して、小学校のクラスで会わない同地区の友達と遊べたり、PTAとは違う親達の交流が深められる機会となった。ゲームをしたり、歌を歌ったり、演劇をしたり、もちろんおやつもしっかり与えられて、本当に楽しくって みんなが仲良かった思い出。そういうものを この道場から本格的に作り上げていこうとしているんだな、と思った。
「ハウルのナントカ」っていうのは 聞いたことあったけど、私には ああいう宮崎駿の独特でストレンジな世界にはついていけない、と思っていたら なんと、映画の終わりで からっぽのお菓子の袋を握り締め、感動してぽーっとしている自分がいた。戦争も争いもダメ。世界人類仲良く暮らさなければ。小さい事からコツコツと。自分が居るコミュニティーから作り上げて行く事が大事なのです!
悟ったように大きな気分になって帰って来た私。興奮してハビーに話すと、「Haul’s Moving Castleだろ?もちろん 観てるさ。あったりまえだろ。あんなCoolな映画、君は今まで観た事なかったワケ???」と見下げるように言われた。「コミュニティー新年会」、参加してよかったです、、、。
Kiki
Posted on 夕焼け新聞 2010年2月号
No comments:
Post a Comment