人の縁て、不思議だよね。何処で誰とつながって、どんな新たな出来事が待っているかわからない。日ごろの行いがよろしいと、その出会いはたいてい有益なものであったりする。
「前から話していた知人が、ポートランドでレストランを開いたの。ご馳走してくれるみたいだから、おいでよ!」
来た!すばらしい出会いが、またやって来た。
「行く行く!もちろん、是非そのお方を紹介して!」
アジアのヒュージョン料理のお店かあ。う~ん、オイシソ。
ポートランドのダウンタウン、Paramount Hotelの中にあるレストランが、最近新しくオープンしたと聞いていたけど、そこが そのお知り合いのお店だったのね。食いしん坊のハビーが、私の一期一会にのっかってくる。いや、是非、僕も、その新しい出会いとやらを味わってみたいものだ。
ずーずーしさには事欠かない私とハビーが笑顔で登場。Tasting Eastのオーナーとその奥さんと、非常に友好的な挨拶を交わす。持つべきものは友だなあ。そこからいろんな輪が広がっていくよね。さて、とりあえず、ビールからいきましょうか。
TE Barというバーエリアのテーブルに着き、「IPA!」と元気良く、ウエイターの男の子に 愛飲ビールを注文。そこで ハビーからストップの声がかかる。小説と同じくらいメニューを読むのが大好きなハビーが、アジアのビールがいろいろあるよ。こういう時には 新しいものを味合わないと!
うかつだった。確かに。ご馳走してくれるんだから 保守的になる必要はないのだ!
ハビーは大仏さんの形をしたボトルに入った「Lucky Buddha」を、私は「33Esport」を注文。しまった、また何処の国のビールか忘れた、、。あんなに何度も ウエーターが困るほど聞いたのに。
アジアンヒュージョンて、どこにでもあって、誰もがやっていることだけど、Tasting Eastは、日本の下町裏通りの味、韓国の家庭料理の味、タイの市場のベンダーの味、台湾や中国のストリートカートの味を集めてきた料理、と言われると、印象が違ってくるから不思議だ。よく見られる闇雲でトンチンカンな創作料理とは違い、ちゃんと基本の味を解っているんだあ、と説得される。
とにかく、アジアの庶民的な味を ポートランドに持ってきて、Snobbyな値段をつけてちゃあいけませんよ。(ほんとうに多いんです。)だいたいHappy Hourがないなんて、昨今のエコノミーでやっていけません。特にウチの家計では。
なーんて批評家的なことを言いながらバーメニューを見る。あれ、すでにHappy Hour 級の値段設定じゃないの。ロール寿司を入れても、一品$2.50から$7.50。6時までにダッシュで入店しなくても、居酒屋のように いつでも、普通に、あれやこれやと単品で注文して、お安くいろんなアジアの味が楽しめるんじゃない。嬉しい。オゴりじゃなくても、また戻ってこれるのね。
ポートランドの五萬とあるレストラン市場で、最初の情熱を保ったまま、そして、利益も得ながら生き残っていくって とっても厳しい事だよね。オーナーやシェフ達が、日々 アイデアを絞り、試行錯誤し、「人気のお店」に造りあげていき、それを継続していく努力をするわけだろうけど、やはりポイントは 「戻りたい店」を作っていくことだ、と私は思う。
店には独自の個性があって「戻りたい店」要素は様々だけど、私にとっては、「あの店のあの一品」。あれが食べたいから また舞い戻る。何度行っても、いつ行っても、期待を裏切らない変わらぬ味。そういうものをレストランが提供している限り、「人気のお店」は廃れないと思う。
まずは最初の出会いが肝心。「いやあ、あの味、忘れられないなあ」という出会いを作る。別れた後も いつまでも心に残る出会い。「また会いたい!」と思う出会い。
今回、私のAttentionをしっかりGetしたのは、「Scallion Pancake Sandwich」のBulgogi Beef。強く 私の味覚のツボを突いた。クレープのように薄く焼いた韓国風のバンケーキを、タコスの皮のようにして、たっぷりの千切りキャベツと肉を挟んで戴く。これが 非常にうまかった。シェアしたハビーと取り合いになったのは言うまでもない。今度は丸一個一人で食べてやる。
「あの店のあの一品」、自腹を切っても また会いに行くからね!
いつまでも 変わらぬあなたでいてください。
Kiki
Tasting East
(503) 243-5991
Posted on 夕焼け新聞 2012年5月号
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