Saturday, October 1, 2016

おいしい話 No. 109 「ハイキング」

ハイキング、いいよね。
健康でいるために、日頃から心がけないといけない事の一つは、運動すること。
世の中 人々は色んなタイプの運動をしていると思うけど、ハイキングも立派な運動、エクササイズよ。特に自然の中にある、長―いトレイルを歩くのは、身体だけでなく心にも健康効果があると思う。

4月の末に Dog Mountainというトレイルコースに行った。
その日は晴天で、初夏を感じさせる温かい日だった。今年のアウトドア活動の切り出しとしてパーフェクトな日だった。
去年からハイキングに目覚めた友人が、Dog Mountainに行こうと誘ってくれた。アウトドアでのエクササイズ、たまにはいいもんよね。特にロケーションが私の好きなパワースポットのGorgeにあると知ったら、やっぱ行かないと。歩くのは好きだけど、ジムの中でトレッドミルを歩くのは10分で飽きる。自然の景色を鑑賞しながら歩くのは、時間を忘れるもんだ。
オッケー、と返事したものの、どういうタイプのトレイルかは不明。あんまり強烈なコースでない事を願う。

別のハイキングマニアの友人が、早く行かないと 駐車場を見つけるのが厳しいよ、とアドバイスをくれた。たぶんこの「早起き」をしないといけない、というのが、本日のコースの一番の難関部だと思う。

頑張って9時に出発。Hwy 84を東に走り、Bridge of Godを渡ってワシントン州側に入る。Hwy 14を引き続き東に向けて走り、Stevensonという小ぃちゃい町を抜けて少し行くと 車が路肩にきっつきつで駐車しているのが見え始める。え、ヤな予感。これみんなハイキングの人達? 登り口にある駐車場はすでに満杯。時すでに10時半。ハードコアなハイカー達に先手を取られたようだ。私達も漏れなく登り口から随分離れた路肩に駐車。私達のエクササイズは15分余分なアスファルトのハイクから始まった。

Dog Mountainのトレイルは、本当に山登りだった。2つのコースの内、Less difficultのコースを選んだが、結構傾斜がきつい。日頃だらけているおケツの筋肉が、いきなり鞭を打たれて悲鳴を上げている。この思わぬ傾斜の上りにやられたのが 実は私ではなく、一緒に行った友人。私より頻繁にハイキングに行っているのにも関わらず、ペースが遅く、何度も立ち止まっては休憩をしている。
「吐きそう」「はっ?」
さては昨日の夜飲んでいたな。問いただすと そうだとと白状した。
「飲み過ぎた、、、。」「ハイキングに対する真剣身が足りん!」
しかし、ヘタっていたのは彼女だけではなかった。ガタイの大きい若いオニイちゃんも、担いでくれーと叫んでいた。そして ワタクシ本人も、ゼイゼイハーハーとうるさい呼吸をしながら、向かい来る暴風を突き進んでいた。(ような進み具合。)
それでも、歩き続けられたのは、青い空に、葉の間できらめく日の光、気品高くそびえ立つ木々や、トレイルの脇に咲く野花など、周りを取り囲む美しい自然を楽しむ事ができたから。

下りて来るハイカー達がすれ違う度に、もうすぐだよ、と言ってくれる。ゴールは近いようだ。どんなに傾斜がきつくても、どんなに厳しい道のりでも、ただひたすら、あきらめずに歩き続ける。まるで人生のようではないか。
そして その「苦」の後には「楽」ある。
厳しいトレイルを歩き通したハイカー達へのご褒美は、天国のお花畑のような頂上だった。コロンビア川を見下ろす壮大な丘一面に 真っ黄色の野生の花が満開に咲き乱れていた。まさにヘブンを思わせるこのゴージャスな景色。思いもよらないサプライズだった。

出発時は青ざめていた友人もすっかり元気を取り戻し、一緒に「スゴーイ!」を連発しながら興奮していた。
いや ホントに。これは絶景です。黄色のお花畑の丘から見下ろす渓谷のうねりと、その間を流れるコロンビア川、青い空に緑の木々達。やっぱりGorgeはパワースポットだ!と再確認。独りでフラリと来て、この丘に座り、Gorgeの風に吹かれて ポーっとするのもいいな、と思った。人生に思い詰まった時に来るには最高の場所だわ。
丘のてっぺんで 絶景を堪能しながらスナック休憩。エナジーバーではなく、おむすびを持って来るべきだった、と思った。おむすびとお茶が合う場所。なんだか子供の頃の遠足を思い出した。

下りも入れて全部で4時間のハイキング。そんなに歩いた気がしないのが トレイルハイクの良さだよね。まあ、翌日には強烈な筋肉痛でRemindされる事は間違いないが。

この黄色いお花がいつまで美しく咲いているのかはわからないが、一度はトライする価値有りの Dog Mountainトレイルです。





Posted on 夕焼け新聞 2016年6月号





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