日本では料理に使うスパイスと言えば、コショウ、ニンニク、ショウガ、赤唐辛子の範囲で留まっている。ワサビやカラシはクックするというよりも、食べる時に付け合わせる物。サンショウを使う地域もあるが、うちの家庭は馴染みがなかった。
Food
Networkの番組を見ていると、料理の材料に様々なスパイスが使われている事を知る。バーベキュー用の肉にまぶすスパイスや、手造りのソーセージに、煮込みスープや 色々なタイプのソースなど、聞いた事もないスパイスが入る。うちの家庭料理では見ることもなかった異国のスパイス達。 私にとってそれは未知の存在で、習った事のない数式を見せられているようだった。
例えば、バーベキュー用の肉にすりこむDry
rubは、クミン、パプリカ、ガーリックパウダー、オニオンパウダー、チリペッパー、カイアンペッパー。これにブラウンシュガーやソルトが加えられる。ソーセージにはパプリカ、ガーリックパウダー、フェンネルシード、ブラックペッパー、ソルト、レッドペッパー。サーモンのBlackendにはパプリカ、カイアンペッパー、オニオンパウダー、ホワイト&ブラックペッパー、タイム、バシル、オレガノ、ソルトなど。なぜその組み合わせ? そしてその調合の割合に?
中国には「チャイニーズ ファイブ スパイス」というのがあるらしい。シナモン、クローブ、フェンネルシード、スターアニス、そしてセチュアン ペッパーコーン。たぶん日本の料理の「さしすせそ」のような、中華料理の基本の調味料なのだろう。
中国4千年の時間をかけて、構築された組み合わせか。
ウィッキベディアによると、紀元前2000年頃には既に東南アジアや中東でスパイスのトレードが行われていたようだ。主に味付けや染色に、そして また食べ物の、得に肉類の保存剤としても使われていた。なぜならスパイスには抗菌性の要素が含まれているから。それ故に 時には薬としても使われていた。そういえば、風邪にはハニーレモンのホットドリンクにジンジャー、ターメリック、カイアンペッパーを入れるといいと言うもんね。
うーん、スパイスにどんどん興味が湧いてくる。
特にスパイスが身体にいいと聞くと、もっとスパイスの事を学び、一つ一つの特徴を知りたくなる。そしてそれらを日常の料理に難なく使えたらどんなにいいだろう。
スパイスを知りたい!スパイスガールになりたい! と思った。
さて、スパイスの事を知ろうという第一歩の所で、口がアングリする発見があった。それは「カレーパウダー」はスパイスの一つ、ではない、という事実。
カレーパウダーも 一個のスパイスで、このカレーパウダーというスパイスを入れるからカレー味になるのだと思っていた私。まさか多種のスパイスの組み合わせだったとは。(こんな驚きをしているのは、私だけ???)
であれば、スパイスガールになる最初のステップとして、自分でカレーパウダーを作ってやろうじゃないの、と思った。
スーパーの棚に並ぶカレーパウダーを手に取り、材料をチェックする。本当に色んなスパイスの名前が並んでるわ。コリアンダー、ターメリック、ジンジャー、フェンネルシード、クミン、ブラックペッパー、ソルト、ガーリック、チリ、フェヌグリークシード。インターネットのレシピを見てみると、これにマスタード、シナモン、クローブ、カーダモンなどが入ったりもする。
メイソンジャーに 一つ一つのスパイスを計量スプーンで量りながら入れる。ちょっと指で舐めてみたが、どれとしてカレーの味はしない。全部入れた後に蓋をしてよく振ると、カレーパウダーの黄色い色になった。そして蓋を開けて匂いを嗅ぐと、ちゃんとカレーの匂いがするではないか! 不思議だわぁ。
その日からカレー料理が続く。カレー味の野菜炒め、カレー味の麦ごはんチャーハン、ココナッツミルクを使ったイエローカレー、そして 大麦と野菜のカレースープ。カレーのスパイスが野菜の甘みをうまい具合に引き出すから、野菜が美味しく、モリモリ沢山食べられる。野菜の栄養と、スパイスの健康効果が一石二鳥で得られるカレーパウダー。素晴らしいスパイスの調合品だわ!
4日目にトイレに行くと、黄色い絵の具を水で溶いたようなおしっこが出た。あれ、ちょっとやり過ぎたかしら。いくら身体にいいからって、立て続けは良くないかったかも。
さて、次はどうするスパイスガール? 貰ったサーモンがあるから、Blackend用のRubでも調合するか。
プロのステージに立つまでに、長い実験の道は続きそうだ。
Posted on夕焼け新聞 2017年5月号
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