Downtownの オフィス街には、平日のお昼時になると 長蛇の列ができるランチのお店がたくさんある。「PHO PDX」の看板がある小さいフードコートの中にあるVietnamese/Thaiのお店も、その例にもれず。
私は、ちょっと二日酔い気味の、「なんか汁物が食べたい」という日に、決まってここのPhoを目当てにやってくる。徒歩の距離で うどんもラーメンも見つからないこのオフィス街で、ここのPhoは私の荒れて乾いた胃の救世主なのだ。
長い列が短くなっているだろう12時半頃を見計らってお昼に入る。職場から2ブロックほどを小走りに走り 駆け込む。1分でも昼休み時間を無駄にしたくない。注文する窓口前には、3、4人が上部に掲げてあるメニューを仰ぎながら順番を待っている。3,4人待ちぐらいなら まだ我慢ができる。
窓口のお兄ちゃんに注文をし、お金を払い、番号札を貰う。お箸とナプキン、フリーのお水をくんで、テーブルがある二階に上がる。12時半過ぎだと、食事が終わって 席を立つ人達のテーブルが開くころなので、これも丁度いいのだ。5分ほどで 別のお兄ちゃんが Phoを運んできてくれる。あっさりとしたライスヌードルをズルズル、熱々のスープをぐびぐびっと頂く。はあ~~~、滲みる~~~。これこれ、二日酔いにはこれよぉ。
まあ 確かに、二日酔いの日中は こうやって平日でもPhoが食べられるからいいが、日本のように 飲んだ後の夜中の2時に 麺類を食べられないのが悲しいね、とふと思う。昔は、散々飲んだ後に、川原沿いある屋台のラーメン屋に寄るのが お決まりのコースだった。時にはうどんの時もあった。飲んだ後に、ハビーと同じく フライドチキンを食べる気には、絶対なれない。
夜中までやっているうどん屋やラーメン屋を、ここポートランドで見つけるのは無理にしても、こんなに大人気のPhoのサービスを、どこかでやっていてもいいじゃないか、と訴えたくなる。
このVietnamese/Thaiの店が、ある日 隣のテナントに移転した。
あまりの人気で、小さいフードコートの建物では収まりきらなくなり、「Luc Lac Vietnamese Kitchen」として、自分達だけのお店を開くことになったんだな、と思った。
規模は大きくなったが、それに比例して忙しさも倍増したようだ。前を通りかかった時、ガラス越しに、レジの前に並ぶ客の列と、To Go 待ちの客でパンパンになっている店内が見えた。
しかし、それに怯んでいるわけにはいかない。二日酔いの日は必ずやってくる。荒れて乾いた胃が Phoしか受け付けない日がやってくる。その日には、ここに駆け込むしかないのだ。
そして先日、いつもの時間差攻撃で、忙しさが少し収まったころに その新しドアを開けてみた。なんだか雰囲気が違う。ちょっとヒップな感じになっていないか。中央にはバーのような作りになっていて、その周りを囲むように テーブルが壁に沿って置かれている。そして奥にはオーブンキッチンがあり、馴染みの料理人がいた。いつもの従業員達も 急がしそうに立ち回っていた。
$6.50のPhoをレジで注文し、お金を払い、番号札を握って、唯一空いていたカウンターの席に座る。そして すぐさま、新しく印刷されたメニューのチェックに入る。
「ハッピーアワー??!!」「ドラフトビアー、ワイン、カクテル??!!」
メニューに書いてある文字を見て、自分の目を疑った。まさか、そんなにアタシの二日酔いはヒドイのか。とっさにバーのような作りになっている場所に目をやった。すると本当にドラフトのレバーが設置され、上部にある棚には ハードリカーが並べられていた! 喜びと、興奮で、心拍数が上昇し、体が熱くなってきた。ハッピーアワーは4時から7時まで -「パーフェクトじゃない!!」スモールプレートは $2または$3 -「安い!!」
心拍数が更に上がる。My ladiesとの、アフター5の 待ち合わせにバッチリではないか。
そして、金曜日と土曜日の営業時間を見た時、息を呑んだ。椅子から貧血少女のように倒れそうになった。なんと この二日は 朝の4時まで営業しているのだ。バーで閉店間際まで飲んだ後に、ヌードルスープが食べられるのだ。 80’Sで踊りまくった後に、軽く空いた小腹を埋める場所ができたのだ。
その日より 私の頼まれてもいない宣伝活動が始まった。 コミッションのため、必ず自分の客を連れてくるツアーガイドのようでもある。ただ ひたすら自分がお金を落としているだけなのだが、$2―3の小皿と、Dinnerになっても$6.50と変わらないPhoには、ギルティーは感じない。私のLuc Lac熱は暫く続くとみている。
Kiki
Luc Lac
Vietnamese Kitchen
503-222-0047
Posted on 夕焼け新聞 2012年2月号
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