Saturday, October 1, 2016

おいしい話 No. 112  「ウォーキング」

バランスの取れた食事と共に、エクササイズは心と身体と脳の健康に欠かせない!と人に言い続けているが、当の本人、LA Fitnessも解約したし(何故ジムって行かなくなるんだろうね)、Barre3も金欠でクラスのチケットを使いきった後更新できてないし、としばらくエクササイズから遠のいていた。
いかんっ、これじゃあいかんっ!
急に焦りの気持ちが沸いてきた。
お金を使わないで、効果的なエクササイズと言えば、ウォーキングだ。歩く事って、走るよりもいいらしい、と聞いた事があるぞ。とにかく、今日は天気もいいし、よし、歩こう!と、思い立った。
エクササイズと言える距離となると、どこまで歩くか。最近開発が進んで、栄えてきているN Williams辺りをCheck-outするつもりで行ってみるか。うちから往復で1時間ぐらいと推定。まあ、いい距離だろ。準備をしながら 同じくサボりモードになっている友達にけしかける。「アタシ、ちょっと歩いてくるわ。この美しいボディーを維持しなきゃいけないからさ。」たぶんゴロゴロと寝転がっていたであろう彼女は、飛び起きて「私も行くぅっ」と駆けつけて来た。

今日は気温もマイルドで、気持ちのいい風も吹き、なかなかのウォーキング日和だ。山や森林のハイキングもいいけれど、街中を歩くのも好き。夢の一軒家に思いをはせ、サイドウオークから並び立つ家々を品評するのも楽しいし、新しいショップやレストランを発見するのも面白い。車だと見落としてしまいがちだけど、ウォーキングだと 歩く歩調でストリートの様子が伺える。

二人でぺちゃくちゃと喋りながら 歩を進めて行くと、あっと言う間にN Williamsに差し掛かった。右を見ても、左を見ても、コンドやアパートの建設が盛んに行われている。このメインの通りを北に上がり、折り返して来よう、と決めた。こんなお店ができている、あんな店ができている、なんて一件一件窓から覗きながら歩いていると、ニューオリンズ調の軽快なジャズの音楽が聞こえてきた。「EAT Cajun Kitchen & Oyster Bar」から流れて来ている。全開になった店の入り口から中を覗くと、ジャズバンドが生演奏していた。オープンテラスのテーブルで、ブランチに集まった客達が身体をリズムに乗せながら楽しそうに鑑賞している。「いいねえ、この曲。」思わず足が止まり、歩道につっ立ったまま聴き入る二人。気が付いたら1丸々聞いていた。次の曲もリズム感のある曲で、席に座っていた女性が立ち上がり、マイクを持って歌い始めた。上手い。その歌いっぷりとパーファーマンスは、メンバーなのか飛び入り参加なのか判定しかねるほど、自然にそのシーンにハマっていた。やっぱ ジャズはこの即興性がうまみなんだよね、なんて知ったかぶる。
あまりの演奏の素晴らしさに魅了された二人は、立ちっぱなしもナンだからと、そのレストランのテープルに腰を掛ける。サーバーが注文を取りに来た。
「シャンパン2つ。」
「あ、フレッシュオイスターもダースで。」
あのぉ、エクササイズはぁ? 全く典型的な私達。簡単に意志は妨げられる。「カンパーイイ!」すっかり本来の目的から脱線した二人は、陽気に身体を揺らしながら 演奏に聞き入っていた。すると、「あれ、あのサックス吹いている女の子、日本人!?」と、バンドの中の日本人らしき女性に目が留まった。生涯ジャズをやってます的な黒人のおっちゃんの横で、チンと座ってサックスを吹いている。本当に日本人だったら、スゴイ。たまに色んな場所で、スゴイ事やってる日本人を見るけれど、ここにもいたか、という感じだった。バンド演奏が休憩に入った時、彼女のところに行き、声を掛ける。本当に日本人だった。ポートランドに数年、本職の傍ら、自分のパッションである音楽活動をこのジャズバンドと共に行っている。「行き甲斐です。楽しくてしょうがないです」と言う彼女。「おおおおー」と感銘を受ける私と友人。
私は楽器を演奏できる人をいつも尊敬するが、楽譜なしで、即興演奏をするジャズバンドにいる演奏者は10倍尊敬する。そこに涼し気な顔をして演奏している彼女、計り知れません。
彼女曰く、あのベテラン風黒人のおっちゃんは Reggie Houstonという名前で、地元のジャズ界では尊敬される存在だとか。彼女はReggieと共に、「EAT」の他にも、「Tapalaya」や、「Cannon Rib’s Express」で定期的に演奏する傍ら、様々なイヴェントにも登場しているよう。
なんという発見でしょう。本当に、たまには街も歩いてみるもんだわ。素敵な事やってる日本人に出会うとこっちも嬉しくなる。
いやあ、今日はいい日だったね。エクササイズと いい音楽。
シャンパンを飲んだ後ろめたさとアルコールは、ここから家まで、後半のウォーキングでふっ飛ばすのだ。




Posted on 夕焼け新聞 2016年9月号



おいしい話 No. 111 「Bone Broth」

 ハビーの元ボスが原因のわからない病気になり、ここ3-4週間弱っていた。
元々の発端は、あるディナーパーティーに呼ばれ、そこで普段制限しているパンを食べた頃らしい。めちゃめちゃ美味しいガーリックブレッドで、結構な量を食べてしまったとか。
その夜から体調が悪くなり、腹痛と吐きまくりの日々が続き、ろくに食べられない状態に陥っていた。「今口にしているのはBone brothだけ」と言う。彼女は友人達に助けを求め、このBone brothを作ってもらって 命を繋いていた。
その話を聞いて、私も力になりたいと思った。
彼女にはすごい恩があるし、日頃からハビーもお世話になっているし、こういう時こそ恩返しをしなければ!と思って立ち上がった。「私も作る!」
でも、「Bone broth」ってなんぞや?
Chicken stockや、Beef stockとどう違うわけ?
グーグルしてみました。
検索によると、呼び方の違いだけで、StockBrothも基本的に同じ。鶏や牛、魚などの骨を野菜やハーブ、スパイスなどと煮込んで出来たスープ。
なんだ、知ってるよ。それだけ?と思ったが、驚く事なかれ、Brothには非常に高い栄養価が含まれているのだ。
長時間煮込む事によって 骨の中にある豊富なミネラルを充分に抽出する。そのエキスは免疫力を上げ、消化器官の作用を向上させ、カルシウム、マグネシウム、リンは骨や歯を強くする。コラーゲンも多く含まれており、関節や、髪の毛、肌、爪の健康にも大きな効果がある。加齢する女性の悩みの種となるセリュライトも除去するとか。そして消化機能だけでなく、脳や神経の機能、デトックス、抗酸化作用に大きな影響のあるアミノ酸も多く含まれている。正に、今言うところの スーパーフードではないか。
Brothは病気で食欲のない人には得に良く、療養、回復には欠かせない一品なのだ。

Brothをただのダシにしか取っていなかった私は その影響効果に驚いた。
そういえば、昔の西部劇映画や、「大草原の小さな家」とかで、ベッドで唸る病人に味気のなさそうな汁を飲ましてるシーンあったよな。「飲まなきゃだめ」とか言いながら。あんな具もろくに入っていない物食べさせて なんで活力になるというのか、と思っていた。なるほどね、昔の人の知恵ってすごいよね。今みたいに栄養学で数字で証明される前から、その効果を知っていた、ていうことだものね。

とにかく善は急げ、思い立ったが吉日。早速Laurelhurst Marketにでかけ、3パウンドの鶏の骨を獲得。Whole Foodsで牛の骨を1パウンド買う。出所は確かよね?とブッチャーに確認する。○○ファームから来てるからモチロン!と自信のある返事。よろしい。ニンジン2本、玉ねぎ1個、セロリ2本、Apple cider vinegar大さじ2杯、ペッパーコーン15粒、月桂樹の葉3-5枚、水10カップ。野菜は全てオーガニック。水はフィルターをかけたもの。
さて、これをどうやって煮るか。ストーブの上でぐつぐつと煮るか、スロークッカーか、プレッシャークッカーか。あるレシピには普通の鍋だと72時間煮込むとあった。それは無理。じゃあスロークッカーとプレッシャークッカーとどっちがいいのよ。リサーチ係のハビーに任務を委ねると、プレッシャークッカーだと返答があった。あの強烈なプレッシャーにより、より多く、しっかりと骨の髄まで栄養素を抽出できるのだとか。料理器材ならなんでも持っている友人にプレッシャークッカーを借り、材料を放り込む。
50分の高プレッシャーと1時間の弱火煮を2回繰り返し、最後に新鮮なパセリ1束とニンニク丸1個分、塩の替わりにフィッシュソースを数滴入れて、40分の高プレッシャーをかけて締めとする。完全に自己目安なんだけど、72時間煮込んだに相当するでしょうと完結する。

充分に熱が冷めた後、鍋を笊にかけ、Brothだけを濾し取る。
このBrothを瓶に小分けにして冷蔵庫で冷やす。すると油が浮き上がり、白い幕となってBrothの両面に固まる。Brothを家で作る特典は、この副産物も利用できる事。この油の白い固まりの部分だけ取り除き、野菜炒めなどに使う事ができるのだ。または飲む手前までそのまま残しておくと、保存用の蓋替わりにもなる、というわけ。素晴らしい!

大きな瓶3本のBrothが出来上がり、元ボスの家まで配達をして来た。
後に、「あーたの作ってくれたBrothBESTだった」と大文字で強調して返事をくれた。新鮮な材料と時間と愛情の賜物ですよ。

元ボスの災難により、Bone brothの存在とその効果を知った私。これを日常に取り入れ、毎日コップ一杯とか飲んでいると、怖い物知らずの身体になるんではないかしら。
Hubby, I need to buy a pressure cooker!




Posted on 夕焼け新聞 2016年8月号



おいしい話 No. 110  「結婚式、フリースタイル」

Hubbyの高校時代の友人から、結婚式の招待状が来た。ポストカードで。
Amanda + Karl are getting married!” 
二人が見つめ合っているショットの写真の裏を返すと、そういうメッセージが書かれていた。
Saturday June 18th Mt. Tabor @1pm”
RSVP by May 10th theknot.com/us/Amanda-Karl”
このカジュアルさ、Hubbyの友人らしい、、、。得に高校時代の友人は、皆どこか一風変わっているから、まあ、「らしい」と思ったわけだけど、実際の彼らの結婚式も、常識外れの、フリースタイルだった。

Mt. Taborに行った事のなかった私は 普通の公園だと思っていた。天気の良い午後に緑の公園で結婚式っていうのもいいんじゃないの、と。でもこの「Mt.」と言う所が少し引っかかっていた。山登り、みたいな事にはならないよね?

Mt. Taborの入り口から舗装された道を上がって行く。なんとなく山っぽい、、、。
ところで、Mt. Taborのどこなん?とハビーに聞く。「知らない」。「ハァ?」
「僕が持っているインフォメーションはあの招待状のハガキに書かれていたインフォメーションだけだよ。」
Saturday June 18th Mt. Tabor @1pm”
ええええー? ホントにあれだけなの?!
手前に電話して詳細を聞くとかしてなかったわけ?「してない。」「出た、、、。」
Mt. Taborの規模がどれだけなのかわからないけど、Mt. Taborでイベント、と言えば誰でもココとわかる場所があるのだろうか、、、。

車で上って行く途中にガジボのように屋根のある大きな休憩場所が目に入った。そこには白いクロスのかかったテーブルがずらりと並べられ、屋根の周りはヒラヒラとカラフルなテープでデコレーションされていた。
それを横目で見ながら、更に上って行く。途中で車を駐車して そこから徒歩で登って(!)行く。
AmandaKarlの結婚式、というサインも無し、風船や、矢印の道案内も無し。当てども無く、ただ上に向かって歩いて行く。これで本当に合ってるわけ?という顔をしながら登っていたのは、私達だけではなかった。ちょっと綺麗な格好をした人達や ギフトを抱えた人達が、同じように困惑した顔をしてぞろぞろと歩いていた。彼らもまた、私達を見て「確認」しているようだった。
最終的に「Mt.」のてっぺんに辿り着いた。そこは、大きな木々の間に 平らな地面が広がっている場所だった。何となく人が集まっている。皆が再会した知人や、そこで知り合った人達と雑談をしている。1時はとっくに過ぎているが、新郎新婦どころか、ウエディングプランナーやオーガナイザー風な人達も見当たらない。「ここで良いんだよね?」と、また知らない人達と確認しあう。誰も定かではない。
1時間経った。何も無し。雑談ももうネタ切れ。雨が降り始めた。私の堪忍袋が切れそうなタイミングで、一人の男性が皆にアナウンスをした。新郎新婦は遅れているので、一旦屋根のあるレセプション会場に行きましょう。レセプション会場は、あの飾りつけしてあった休憩所だった。
坂道を下り、レセプション会場に行くと、先に着いた人達が備えてあったワインを勝手に空けて飲み始めていた。私も知ったこっちゃねえとワインをグラスに注ぐ。アルコールが入ると皆また談話に花が咲き始めた。新郎新婦抜きのレセプション。しかもまだ式もしてないのに。「This is a backwards wedding!」と誰かが叫んだ。ホントに。

それから1時間後、同じ男性がアナウンスをした。もうすぐ新郎新婦が登場するので、あの元いた場所に戻って下さい。えー、やっぱりまた上がっちゃうの? 今度は、皆ワイングラスを片手に登り始めた。
不思議だったのが、この待たされている間、誰一人として文句を言う人がいなかった事。ごねる人も、ぶーたれる人も、帰ってしまう人もいなかった。なんて寛容なポートランド人!

全員があの山のてっぺんに戻ると、誰かがバイオリンを引きはじめた。白い花を胸に刺したKarlが大きな木の前で立っている。小さい女の子が花びらを撒きながら現れた。次に子犬を連れた男性。ブライドメイド、グルームズメンがその後に続く。最後に花を髪に飾った新婦がブーケを持って現れた。Karlのお兄さんが神父の役を受け、結婚を執り行った。全くもって手作りのシンプルな結婚式だったけれど、とても美しく、素敵な式だった。長らく待たされていた事も帳消しになった。終わり良ければ全て良し。集まった皆が笑顔で祝福している。

こんな結婚式始めて。常識や型から外れていても、2時間の遅刻をしても、弁明する事も無く、これが私達のスタイル、と堂々とやってのける彼ら。そしてそれを受け入れる周りの人達。全くもって自由なスタイル。長いアメリカ生活、様々な珍体験をして来たけど、これもまた、いろんな意味で、心に残る結婚式でした。




Posted on 夕焼け新聞 2016年7月号



おいしい話 No. 109 「ハイキング」

ハイキング、いいよね。
健康でいるために、日頃から心がけないといけない事の一つは、運動すること。
世の中 人々は色んなタイプの運動をしていると思うけど、ハイキングも立派な運動、エクササイズよ。特に自然の中にある、長―いトレイルを歩くのは、身体だけでなく心にも健康効果があると思う。

4月の末に Dog Mountainというトレイルコースに行った。
その日は晴天で、初夏を感じさせる温かい日だった。今年のアウトドア活動の切り出しとしてパーフェクトな日だった。
去年からハイキングに目覚めた友人が、Dog Mountainに行こうと誘ってくれた。アウトドアでのエクササイズ、たまにはいいもんよね。特にロケーションが私の好きなパワースポットのGorgeにあると知ったら、やっぱ行かないと。歩くのは好きだけど、ジムの中でトレッドミルを歩くのは10分で飽きる。自然の景色を鑑賞しながら歩くのは、時間を忘れるもんだ。
オッケー、と返事したものの、どういうタイプのトレイルかは不明。あんまり強烈なコースでない事を願う。

別のハイキングマニアの友人が、早く行かないと 駐車場を見つけるのが厳しいよ、とアドバイスをくれた。たぶんこの「早起き」をしないといけない、というのが、本日のコースの一番の難関部だと思う。

頑張って9時に出発。Hwy 84を東に走り、Bridge of Godを渡ってワシントン州側に入る。Hwy 14を引き続き東に向けて走り、Stevensonという小ぃちゃい町を抜けて少し行くと 車が路肩にきっつきつで駐車しているのが見え始める。え、ヤな予感。これみんなハイキングの人達? 登り口にある駐車場はすでに満杯。時すでに10時半。ハードコアなハイカー達に先手を取られたようだ。私達も漏れなく登り口から随分離れた路肩に駐車。私達のエクササイズは15分余分なアスファルトのハイクから始まった。

Dog Mountainのトレイルは、本当に山登りだった。2つのコースの内、Less difficultのコースを選んだが、結構傾斜がきつい。日頃だらけているおケツの筋肉が、いきなり鞭を打たれて悲鳴を上げている。この思わぬ傾斜の上りにやられたのが 実は私ではなく、一緒に行った友人。私より頻繁にハイキングに行っているのにも関わらず、ペースが遅く、何度も立ち止まっては休憩をしている。
「吐きそう」「はっ?」
さては昨日の夜飲んでいたな。問いただすと そうだとと白状した。
「飲み過ぎた、、、。」「ハイキングに対する真剣身が足りん!」
しかし、ヘタっていたのは彼女だけではなかった。ガタイの大きい若いオニイちゃんも、担いでくれーと叫んでいた。そして ワタクシ本人も、ゼイゼイハーハーとうるさい呼吸をしながら、向かい来る暴風を突き進んでいた。(ような進み具合。)
それでも、歩き続けられたのは、青い空に、葉の間できらめく日の光、気品高くそびえ立つ木々や、トレイルの脇に咲く野花など、周りを取り囲む美しい自然を楽しむ事ができたから。

下りて来るハイカー達がすれ違う度に、もうすぐだよ、と言ってくれる。ゴールは近いようだ。どんなに傾斜がきつくても、どんなに厳しい道のりでも、ただひたすら、あきらめずに歩き続ける。まるで人生のようではないか。
そして その「苦」の後には「楽」ある。
厳しいトレイルを歩き通したハイカー達へのご褒美は、天国のお花畑のような頂上だった。コロンビア川を見下ろす壮大な丘一面に 真っ黄色の野生の花が満開に咲き乱れていた。まさにヘブンを思わせるこのゴージャスな景色。思いもよらないサプライズだった。

出発時は青ざめていた友人もすっかり元気を取り戻し、一緒に「スゴーイ!」を連発しながら興奮していた。
いや ホントに。これは絶景です。黄色のお花畑の丘から見下ろす渓谷のうねりと、その間を流れるコロンビア川、青い空に緑の木々達。やっぱりGorgeはパワースポットだ!と再確認。独りでフラリと来て、この丘に座り、Gorgeの風に吹かれて ポーっとするのもいいな、と思った。人生に思い詰まった時に来るには最高の場所だわ。
丘のてっぺんで 絶景を堪能しながらスナック休憩。エナジーバーではなく、おむすびを持って来るべきだった、と思った。おむすびとお茶が合う場所。なんだか子供の頃の遠足を思い出した。

下りも入れて全部で4時間のハイキング。そんなに歩いた気がしないのが トレイルハイクの良さだよね。まあ、翌日には強烈な筋肉痛でRemindされる事は間違いないが。

この黄色いお花がいつまで美しく咲いているのかはわからないが、一度はトライする価値有りの Dog Mountainトレイルです。





Posted on 夕焼け新聞 2016年6月号





Tuesday, June 7, 2016

おいしい話 No. 108 「オレゴン ワイン カントリー」


日本から家族や友達が来たら 絶対に連れていきたいと考えているのが、オレゴンのワイナリー巡り。(だーれもまだ来る気配はないが。)
カリフォルニアのNapaSonomaなどと比べると 面積の規模は大きく違うかもしれないが、オレゴンのワイナリーが持つヴィンヤードは壮大で美しく、そのひけをとらないと思う。そして、完全に地元びいきだけど、カリフォルニアのワインより オレゴンのワインの方が断然美味しいと思う。本当に日本に住む家族や友達にその景色を見せたい、飲ませたい!

オレゴンだと、やっぱり赤はPinot Noirという。私の意見としては、Pinot Noirは当たり外れがひどく、レストランで知らないでグラスなんかで注文すると 殆ど外れが多い。だから自費の外食の時は、Pinot Noirを注文して残念な気持ちになるよりも、2-3ドル安い、味に極端な違いもなくフルボディーで安定しているCabernetを注文する。

でもワイナリーに行ったら メインはPinot Noirとなる。私の経済力では 街のレストランなどで、本当に美味しいPinot Noirはなかなか見つけられない。でもワイナリーでは テイスティングルームで少しつづ様々なワインを味見できるから、安く宝探しができるのだ。オレゴンでPinot Noirを作っていないワイナリーはほとんどないんじゃないかな。とってもセンシティブなブドウだから、個性の違いが出やすい。ワイナリーによって 色鉛筆のカラーのように その出来は様々。テイスティングで そのカラーの違いを比べるのが楽しい。美味しいPinot Noirに出会ったら本当に幸せな気持ちになる。真さに宝探しなのである。

しかしさー、美味しいワインって、なぜ、こんなにも 幸せな気持ちにさせるんだろうね。とっても不思議。

先週行ったPenner-Ashのワイナリーも 非常によかった。
テイスティングして、ワインやワインメーカーの歴史やうんちくを聞いて、私達があまりにもチャーミングだったせいか、テイスティングメニューに載っていない別のワインも注いでもらったりして、すっかりご機嫌だった。
なぜ Penner-Ashを今回選んだかというと、ここのワイナリーの白ワインが、先日中国の首相が訪米した時に、ホワイトハウスでのディナー用に選ばれた、という記事を読んだから。ホワイトハウスのディナーにしてこの庶民的な値段、1本$30、スクリュートップ! てね。

これをどうしても試したかった。主要人物を迎えるにあたってホワイトハウスが選んだ$30のワイン。アタシにも買えるじゃんっ!
嬉しい事にこのワインがテイスティングのメニューの中に入ってた。
これが、めちゃくちゃ美味しかった! 丸くて、柔らかく、ハニーのような舌の絡みがあり、それでいて甘くはなく、キレイなドライ感があった。
なんて良心的なのだ! あと数ケースしかない、という言葉に乗せられて1本買っちゃいましたよ。2014 Oregon Viognier

あと、このViognierも含め、Penner-Ashの白ワインは フランスの白ワインを思わせる味がする。やっぱりオレゴンの土と気候が フランスに似ているっていうのが、似たようなぶどうの味を産み出しているのかな。カリフォルニアの白ワインでは思わないもの。ワインメーカーも フランス産のワインを意識しているのだろう、と勝手に思った。

通常、ワイナリーに行くと、テイスティングの後に、その中で気に入ったワインをグラス、またはボトルで買い、そのワイナリーの暖炉の傍や、テラスや 敷地の芝生などに座り、ゆっくり時間を過ごす。

Penner-Ashは ヴィンヤードが見渡せる高台に位置しているので、そこからの眺めは絶景。大きく開いたテラスの向こうには芝生の敷地が続いていて、そこに腰かけると 温かい春の日差しと風を感じられて本当に気持ちよい。
今日 選んだ一杯は、テイスティングメニュー以外で出してくれたワインのひとつ。ロゼ。2015 Roseo

ロゼというと 甘いワインを思うけど、これは優しいドライで、ベリーのような香りと甘みが微かにあり、ルビーの輝きを飲んでいるような感じだった。2015と若いけど、変な若さで暴れてる感が全くなく、オトナの女性、という感じだった。

これをグラスで買って、外に腰かける。
この時間が 喜びの時間なんだよね。 友達と行けば、人生の話で盛り上がり、(うまくいっている)パートナーと行けば、将来の話で盛り上がり、時間が経つのも忘れる。

本当にこういうひと時を、日本の家族や友達とも味わいたい、味あわせてあげたい!と思う。だから彼らが来たら、絶対連れて来てあげたいと思うわけ。

腰の重い奴らに、イメージ写真で釣ろうとメッセージを送った。
「是非、Penner-Ashのウエブサイトに行って、その敷地の写真を見てちょうだい、こんなとこなのよ! 行ってみたいと思わない!?」

いつかやって来るだろうという希望のもと、私のワイナリー巡り、開拓は続く。
これから いい季節になるね。




Kiki


Posted on 夕焼け新聞 2016年5月号

Sunday, May 1, 2016

おいしい話 No. 107「マイブーム、ハンバーガー」

もうすっかりべジ主体の食生活になっている私だけど、基本、精神はゆるいので、我がベジタリアンポリシーはそこまで厳格ではない。 特に「Grass-fed」を謳った牛肉や、「Free range」の鶏肉、「Wild caught」の魚には、簡単にポリシーが崩される。 Portlandは得にそれを打ち出して宣伝するレストランが多く、こういう説明をメニューに見ると単純に安心し、よし、食ってみるか、と思う。
そんな私の最近のマイブームがハンバーガー。もうすでに巷のハンバーガーブームは終わっているような気もするが、私の中で単独盛り上がっている。ベジタリアン悪しからずのマイブームだけど。
 しかし、いつからハンバーガーが ファンシーになったんだろうね。NWのちょっと洒落たレストランで$10以下のハンバーガーは ほぼ見かけない、っていうすごい現状。「Grass-fed」の牛肉など更に$2-3上乗せされる。
以前は そういう洒落たレストランがハンバーガーをメニューに載せている事が理解できなかった。ハンバーガーはファーストフードチェーンのテリトリーであって、そこに任せておけばいいじゃないか、誰が2倍以上のお金を払ってハンバーガーを食べるもんか、バカバカしい!と思っていた。でも ハンバーガーが大好きなアメリカ人、日本人がラーメンを極め続けるのと同じように、彼らもアメリカ人の肉と血であるハンバーガーを極めて行きたいんだろうね。確かに、クオリティーは、ファーストフードチェーンのそれと比較しちゃあいかんのはわかる。ローカルのオーガニック野菜、Grass-fedの牛肉、その日に焼かれたバンなど、材料の質の高さと共に、肉の仕込みや、焼き方などにこだわっているようなら、シェフの情熱、時間とLaborに対して ふさわしい対価を払っているということになる。大量に生産されたカビの生えないバンに冷凍のパテ、ほとんど野菜抜きのハンバーガーにお金を払っている事の方が バカバカしい!はず。
そう心をオープンにして$10-15のハンバーガーを注文した後に、ちょっとパッションたりないんじゃないのぉ?と思う一品を出されると、怒り度は2倍になるんだけどね。
Yakuzaのハンバーガーは昔から美味しいと聞いていた。借りにもYakuzaと名前を打って、日本食ヒュージョンの料理を出している中で、なぜハンバーガーを入れなきゃいけない?と やや対抗的な意識を持ち、今までそこを避けて他の物ばかり注文してきた。でもマイブームが起こってから、「Give it a try」と決心し、ハンバーガーを食べるべく、出向いた。Yakuza Burger $15。出ましたこの値段。でも、巷の噂は正しかった。確かに旨かった。シェフの情熱感じたよ。難を一つ上げるとすれば、私の好みに対して、バンがちょっと厚めだった事かな。
Little BirdDouble Brie Burger $14、肉がとってもジューシーだった。かぶりつくと肉汁が滴り落ち、顔も手も油まみれ。デートにはちょっとどうでしょう。私好みのミディアムレアからレアよりで、肉の鮮度の高さがわかる感じだった。問題はバンが肉汁ですぐSoggyになってしまった事かしら。
私のマイブーム最高位に立つハンバーガーは Basta TrattoriaBasta Burger $10。元々の発生地はイタリアという、Grass-fedで育てられたPiedmonteseという種の牛肉に、Genovese Focacciaというバンを使っている。このバンが、ピザの生地を思わせるような、弾力のあるモチモチとした食感で、思いがけず、肉の味を引き立たせる。通常のハンバーガー用バンは、ドライでパサパサした物が多く、全体の味に対して減点要素になりがちだが、Genovese FocacciaSoggyになる事もなく、忘れられない存在感を出している。完全に心を打たれ、病み付きになった私はハッピーアワー価格$7を狙って行く。Bacon, Avocado, Smoked Mozzarellaをそれぞれ$1で追加できる。
そして最後に幻のSoul Kitchenのハンバーガー。これは通常のDinner menuには無く、Pono Farmからそれ用の肉が入った時だけ、ハッピーアワーにだけ登場する。だから 運が良ければ出会えるし、運が悪いとご賞味できない。運の良かった私は、その幻のハンバーガーに出会う事ができた。とってもデリケートで柔らかく、油の乗りも調度の加減でシツコクなく、肉の美味しさが全面に出ているシロモノだった。あのハンバーガーにまたお会いしたいと思う。でも、そんなに運が良いわけではなく、あの1度きり。夢にでてきそう。手前に電話して確認するべし。
その他色々なレストランのハンバーガーを試したが、8割方、心を閉ざされる。パッションが伝わってこない。料理は愛情とはよく言ったもので、愛情を感じない品は、美味しさを感じない。たとえファンシーなレストランであろうと、有名なシェフであろうと。私はハンバーガーという一品にチャンスを与えた。そして これからも与え続けるだろう。この街のどこかで、誰かが、愛情とパッションを持って その味を極めて行き続ける限り、私のマイブームは終わらない。

80%ベジタリアンの大宣言。



Posted on夕焼け新聞 2016年4月号


Sunday, March 6, 2016

おいしい話 No. 106 「3日断食」

断食をしようと思い立った。
本当は去年の日本旅行の後にやる予定を立てていたけど、こっちに戻って来たらすぐ、Thanksgiving, Christmas, 忘年会、新年会と続き、断食とか、デトックスとかやっている場合ではなかった。
この間、こういったパーティーを 身体のクレンジングより優先してしまった意志の弱い私だったわけだけど、パーティーシーズンの終わった2月に入ると、元々の思いがむくむくと蘇って来た。そろそろ誘惑、Destruction無しで、やれるかも。いや、そいういう事言ってちゃ いつまでも実行できん! 食事会や飲み会の誘いが来ても、きっぱり断れる自分でなければならぬ。
という事で、いきなり「来週から3日間断食するから」と宣言した。
人生初の本格断食を実行する。デトックスとクレンジング、内臓機能のリセット、細胞本来の活動をフルに行ってもらう機会を身体に与える期間。
この間、口にするものは、ブレンダーでなく、ジューサーにかけた野菜ジュース、水、お茶、デトックス効果のあるハーブティー、そして昆布、椎茸、鰹節でとったダシ汁のみ。酒類、コーヒー、乳製品、固形食物を一切断つ。

3日間で一番辛かったのは 初日。
いつもの食事が入って来ないので、お腹が狂って暴れている。
そこをひっきりなしに液体を流し込み、誤魔化す。
野菜ジュースは液体ではあるけど、お腹に重みを与えるので、お茶や水と違う満足感が得られる。「晩御飯」と称したダシ汁も 味付けをしていないので めちゃプレーンではあるが、ダシ汁の自然の塩分のせいか、これも満足感が得られる。

しかし、空腹感よりも何よりも、初日の午後から起き始めた頭痛に一番やられた。
金槌で頭を打たれているような痛み。まったく予期していなかったが、カフェイン欠乏症の症状だと言われた。
「うそーっ! たった1日コーヒーを飲むのを止めただけで???」
カフェインの中毒性の強さ、スゴすぎ、、、。。
確かに毎朝、一杯のコーヒーは欠かさないけど、一杯以上飲むことはない。それなのに、今日始めて飲むのを止めただけで もうこの頭痛??
123杯コーヒーを飲むという友人がコーヒーを断ったら 5日ほど頭痛が治まらず、今はコーヒーを飲むのが怖い、と言っていたが、その気持ち、わかる!と思った。断食終了後の私、もう毎日飲んでないもんね。 カフェイン、なかなか強烈なシロモノですわ。
夜は早々に就寝し、空腹とDealする時間をカット。

頭痛が2日目も続いていたら、と心配したけど、一晩寝たら次の日には引いていた。これは11杯と23杯の違いなのだろうか。

中日、昨日のうるさい腹もあきらめて落ち着き、気持ちも昨日より楽。
今日のランチは Kureの野菜ジュース。「ボクも一緒にやるっ!」と断食に参加したハビーから、買い物に行って野菜を追加したというメッセージが入る。喜んで送ってきたリストにハバネロペッパーが入っている。今日の夕食ジュースは ピリ辛のようだわ。それって、いいのかい?
取り敢えず、この中日の調子をみると、3日間やりきれそうだわ。

1週間の水断食を何回かやった事のあるハビーが言うには、コーヒー断ちの頭痛は当たり前。そのうち自分の体臭に気付く。そして だんだんハイになっていく。私の3日断食じゃあ たいした影響はないだろうと思ったが、ミニハイな感じはあるかも。

断食3日目、最終日。思ってたより 調子はいい。
3日目となると、辛くて ヨレヨレになっているかと思ったけど、そうでもなかった。空腹で自分自身が狂って暴れ出す、という事もなかったし、わりと軽く乗り越えられた。やっぱり野菜ジュースの効果かしら。
今朝早めに起きて作ったジュース、Mason jar 2瓶を持って会社に行き、午前と午後とで 1瓶づつ飲んだ。それから 緑茶とハーブティーを飲み、後は水で埋めていく。
仕事の後、LA Fitnessのジャグジーで 30分ほど入浴。最後のデトックス作業。
なかなかスッキリした。いつもは この後サウナにも入るところだけど、今日はやめておく。ぶっ倒れそうな気がするから。

明日から 普通の食事にゆっくり戻していく。柔らかい物から 徐々に。
ダシ汁を使って 白米、麦半々のおかゆを作った。あと生姜も入れて。これが私の朝食、昼食となる。夜はアボカドをワカモレ風につぶしたもの。最初のFat摂取。

断食には身体のシステムのデトックスクレンジングをする、という目的があるけれど、それと同時にそれを全うする強い精神力も問われる。「やりたい」「やりたい」と言っているだけでなく、本当に実行し、完全遂行する事が 断食の真髄なのだと確信した。
とにかく ワタクシ、
Mission accomplished



Posted on 夕焼け新聞 2016年3月号

おいしい話 No. 105 「さよなら、Spike」

Spikeが天国に行った。
もうすぐ18歳になるおばあちゃんだったけど、ずーっと赤ちゃんみたいな顔をした猫だった。
タフで強くて、こっけいで、愛らしかったSpike
猫好きではない私は、ハビーが実家からうちに引き取りたい、と言った時は 非常に躊躇した。でも、いざやって来て一緒に住みだすと、いつの間にか、写真を撮りまくり、人の迷惑も考えずに「可愛いだろう」と送りまくる親バカになっていた。
我が子が可愛いいと思えるのは 人間も動物も同じなんだと知った。

もう老猫で、最近の動向はおかしかった。確実に最後が近づいてきている感じだった。
ご飯も偏食になり、食欲も無くなり、寝る場所も転々と変え、異様にCuddlyになり、変な座り方して遠くを見つめてたり。

昨日は得におかしかった。
外に出たがり、一旦外に出るとなかなか帰ってこない。いつもなら小心者ぐらいすぐに家に舞い戻って来ていたのに。
そんな、なかなか帰って来ないというパターンが朝、昼、と続いた。
夜もまた出たがった。
出してやると 12時近くになっても戻ってこない。
子供の頃飼っていた犬が病気をして、その後突然いなくなった時、両親が、動物は死ぬ時には、飼い主にその姿を見せないんだよ。一人で死ぬ為にどこかへそっといなくなってしまうんだよ、と言った。その話を思い出して怖くなった。
このままSpikeは帰ってこないんじゃないかと。

でもSpikeは戻ってきた。
戻ってくるなり、床にコロンと寝転がり、じっと動かない。
私は心配で、居間のカウチに毛布を持ってきて、そこで寝る事にした。もしSpikeに異変が起きたらすぐわかるようにと。

夜中の3時頃、苦しそうな声を上げるSpikeに目が覚めた。
もうぐったりしている。目ももうろうとしている。
急いで救急動物病院に電話したら すぐに連れて来なさいという。
パジャマの上からセーターを被り、Spikeをキャリーバッグに入れ 外に飛び出す。
車をUnlockしようとRemoteのカギを押すと、アラームが鳴り出す。Shit!!
携帯のナビゲーションをスタートして車を走らせる。
その間、私はずっとSpikeに声をかけていた。
Hang on Spike!  Hang on!
時々かすれた声でSpikeが答える。Meow...   よし、まだ間に合う。Hang on Spike!  Meow..
途中携帯のバッテリーが切れて ナビが消える!! Shit Shit Shit!
Thank God、携帯のカバーにはチャージャーがついている。それをオンにして再起動を待つ。
その間、コンタクトレンズを入れる時間を惜しみ、メガネのまま飛び出した私は ストリートのサインがよく見えない。
ナビが再起動するまで、自分で進んで行こうとするんだけど、とにかくサインが読めないから 違う門を曲がったりして、もうオタオタ。
やっとナビがまた起動し始め、病院に到着。駐車禁止の標示の前に逆方向で車を停め、病院の入り口に走り、ドアを叩く。ガラス張りだったから さっき電話で応対してくれた女性が受付カウンターから私を見つけ、入口のドアまで駆けつけてくれた。
そのままドクターの手で治療室へ。
私は小さい個室の待合室に案内された。

なんでこういう時、Hubbyは撮影の仕事でいないわけ?
なんで私一人で Dealしているわけ?

ドクターが部屋に入ってきて 状況を教えてくれた。
Spikeの心臓は止まったけど、CPRを与えたら息を戻した。CPRを継続すれば Spikeは少しの間長生きできるかもしれないが、それも時間の問題。もう年だし、薬を与えて 静かに痛みもなく死なせてあげる、というオプションもある、と説明してくれた。
私は それを承諾した。
この日が来る事はわかっていた。おばあちゃんのSpike
今まで頑張ったよ。

私が独りで待っている待合室に赤いブランケットで包んだSpikeを連れて来てくれた。
最後のお別れの時間を与えてくれた。
私はSpikeを抱きしめ ただただ泣きじゃくった。
ブランケットの中で眠るSpikeは やっぱり赤ちゃんみたいに 可愛く 愛おしい顔をしていた。
Thank you, Spike
I love you, Spike
You did very well
You lived a really happy life
私は泣きじゃくりながら ずっとSpikeに話しかけた。
二人きりで、小さな部屋で。

涙が止まらなかった。
病院の人は優しく、私が気が済むまで泣かせてくれた。ずっとドアの外で待っていてくれた。

朝早くHubbyが仕事から帰ってきた。家に入るなり泣き崩れた。
ずっと二人で一日中泣き続けた。
Hubby18歳の時から飼い出したSpikeSpikeは文字通り彼のBabyだった。

キッチンには Spikeが口をつけなかったCat Foodが ボールに残っている。
大好きだったTreatも マットに転がっている。

Spikeがこの世から消えた。
私達の生活からいなくなった。
彼女の人生を終えて、天国に行った。

昨日私が 本を声を出して読んでいると 私の傍に来て横になり、私の声を、本のストーリーをじっと聞いていたSpike
彼女も自然のサイクルの中に戻ったんだね。
土にNourishしてもらい、そして土に返る。
この変わる事のない自然のサイクルを、Spikeの死によって また 実感したよ。

ありがとう Spike
さよなら Spike




Posted on 夕焼け新聞 2016年2月号