先日、シアトルの友人から緊急メールが入ってきた。
「これ! アタシが言いたいことそのまんま言ってくれてるっ! うれしい、やっとわかってくれる人を見つけた!」
そのメールに添付していたリンクをクリックしてみると、ラーメンと伺えるヌードルスープの写真が一面に広がり、「What’s Wrong with Ramen in Seattle?
It’s Wramen.」という見出しの記事が出て来た。
著者のJay Friedmanは 近日のシアトルに湧き上がっているラーメンブームを取り上げ、そのクオリティーに嘆きの声を上げている。日本のテレビ番組の判定人のように、何度「ごめんな」と言って マズいラーメンから立ち去りたいと思ったことか、と。
ここまでの印象は、ただの知ったかぶりのアメリカ人が、わかったようなことを言いいたいだけだろう、という感じだった。掲載しているラーメンの写真は確かにおぞましい様相ではあったけど。
Friedmanは嘆きの真相をついていく。沢山のシェフがラーメンに出会い、感動し、それを自分で再現しようとする。「- Putting their own spins on it.」
「そう! それよっ!」黙読しながらも 心の声が叫ぶ。「Western spins」 つまり、「余計なひねり」! それはシアトルだけなく ポートランドにも起こっている現象よ。
そしてFriedmanは、私と同じ恐怖を感じていた。「本当のラーメン」という存在が失われて、「本当のラーメン」を認識できる人がいなくなるのではないか。
クリームチーズやチリソースを使った寿司など 日本では見られない。しかし、ここアメリカではSushiと呼ばれ、定着している。日本食屋で、こんな会話を何度も耳にしたことがある。「今日はSushiにするわ」といって、スパイシーなんとかロール、クリスピーなんとかロール、と注文している。そしてメニューを覗く一人が、「What is Nigiri?」と聞く。同席している相方が「it’s a
sashimi over rice」と説明する。こういう会話を聞く度に、イラッと来るのは 私だけではないはず。
とにかく、ラーメンも同じように、日本では見られないとんでもない創造を凝らしたラーメンが ここではラーメンと呼ばれ、定着していくのではないか。私はBoke Bowlでラーメンを食べた時に、その恐怖を感じた。Biwaで大人気のラーメンを食べた時も まったく同じ。
Friedmanはここで提案する。日本では見る事のないタイプのラーメンを「Wramen」と呼ぼう。食べると日本を郷愁させる、本物のラーメンはRamen。しゃれた材料で、意匠を凝らし過ぎた、日本から ぐぐぐぅーん、と遠ざかってしまうようなラーメンは Wramen。きちんと差別化して、本当のラーメンを認識し、守るべきだ。
私はFriedmanに会って抱きしめたくなった。「ありがとう!私の気持ちを分かってくれて!」
たぶんシアトルの友人も同じように感動したのだろう。ここに住むすべての日本人がこのやりきれない気持ちを抱えているはず。私はあきらめていたよ。もうこれは世の風潮で、新しい文化の始まりだと、受け入れるしかないんだと。
それにしても、Friedman、なぜアタシたちのジレンマが解る?
彼が映画「タンポポ」を話に挙げた所は、うちのハビーも興奮した。「I told you! Everyone who tries
to make a ramen should watch the movie!」
ハビーのうんちくは 完全に「タンポポ」の受け売りと、私のレクチャーによるものだけど、Friedman,は「Ramen」を知っている。日本に何度も行き、本場の味を体験しているからか。日本人も趣向を凝らし、アイデアを加えて、あーでもない、こーでもないと、麺、スープ、チャーシューの出来に拘る。でも ラーメンが、ラーメンであるべきところからはブレない。あくまでもRamenであり、「何だコリャ?」のWramenには成り得ない。
私たちの気持ちを代弁し、世に訴えてくれたFriedmanに御礼の気持ちも込めて、私が選ぶ「Ramen」を紹介したい。シンプル イズ ザ ベスト - Koji Osakaya。こんなに普通で、当たり前のラーメンはどこにも見かけない。しょうゆ味も豚骨味も本当に普通。ネギにシナチク、チャーシュー、鳴門が乗って、$7.50。今ポーチドエッグが流行っているけど、そんなオプションは無い。余計なひねりも無く、洒落た事をしようともしない。「Ramen」が食べたくなると、私はKojiに向かう。
ShigezoのKumamoto
Ramen$9.50 もお勧め。コクのあるとんこつ風スープが 病みつきになる。
The House of Ramenも悪くない。すごくうまい!との絶賛はしない。あくまでも「悪くない」の評価。スープをもうちょいケチらずに注いでもらいたい、っていうのはあるけど。私はいつも味噌$7.50にNormal Wavy noodleとBBQ Porkのチョイス。TomatoのスープとThick & Wavyの麺を選ぶと、「Wramen」になってしまうかもしれない。
Yuzuのラーメンが旨いと日本人の間で評判。そのうち試してみたいと思っている。
Friedman、ポートランドを訪れた際には、是非トライしてみて。そして君の3年後のRevisionを楽しみにしているよ。
Koji
Osakaya
6
SW Broadway, Portland, OR 97205
1000
SW Broadway, Portland, OR 97205
1502
NE Weidler St. Portland, OR 97232
Shigezo
910
SW Salmon St, Portland, OR 97205
The
House of Ramen
223
SW Columbia St, Portland, OR 97201
Yuzu
4130
SW 117th Ave, Beaverton, OR 97005
Posted on 夕焼け新聞 2014年4月号
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