Saturday, January 31, 2015

おいしい話 No. 81「Happy Holidays」


ホリデーシーズンがやって来た。人々が家族と集まり、一緒に過ごす喜びを祝う時。ターキーを焼き、エッグノッグを飲み、プレゼントの交換をする。集う家族がいることが幸せだと感じるシーズン。

ハビーと結婚してから ハビーのパパとママが私のパパとママになり、「my sister」と言ってくれる弟ができた。Thanksgiving Christmas Holidaysは毎年必ずハビーの実家に行き、家族の時間を過ごした。それが自然で、当たり前のホリデーシーズンの過ごし方だった。パパとママが離婚するまでは。

ハピーの両親が、数年前 リタイア目前にして離婚してから、ホリデーシーズンが、ハビーと私にとって スケジュールを組まれた義務的イヴェントになっていった。

「今年のThanksgivingはどうするんだ?」

「いつRoseburgに来るの?」

「うちに泊まるだろ。」「うちに泊まっていいのよ。」

太刀が悪いのは、この離婚した両親が、まだ和解状態ではなく、同じ町に住んでいる事。昔のボーイフレンドの家族みたいに、離婚した元夫婦が、新しい恋人やら結婚相手やらを連れ、人類皆兄弟状態で、一斉に一つの屋根の下に集まり、どんちゃん騒ぎをする、という状態には まだなっていない。また 二人が違う州とか、西海岸、東海岸にわかれていれば、両方を訪ねることができないのは不自然ではないが、車で15分の距離のところで、パパのところを訪れておいて、ママの所に「行けない」は通らない。

だから私達はいつも2日間を用いて パパの日、ママの日、と割り当て、それぞれに会う。

そしてここから もっとセンシティブな問題になる。

どっちとThanksgiving Dayを過ごし、どっちと翌日に会うか。

どっちをChristmas Eve に訪ね、どっちとChristmas Dayを過ごすか。

つまり どっちの日に振り当てるかによって、彼らの受け取る優越度が変わってくるわけ。日本だと、断然Christmas Eveが大事だろうけど、アメリカのメインはChristmas Dayだからね。とにかく、それを決めるのは私達の胸にゆだねられている。私達は真ん中に立ち、公平で、平等な対応に努めてきた、彼らが別居した日から。

今年も10月頭ぐらいから、Thanksgiving Dayの予定を伺う電話が両者から鳴り始めた。ハビーはうんざり感を隠し切れない。「It is too early to plan for Thanksgiving, Mom。」「We will tell you when we figure that out, Dad。」

毎週のように掛かってくる電話に、Yes ともNoとも言えず、ついにThanksgiving Dayの週に入ってしまった。

I wish we could just have Thanksgiving by ourselves, just us alone」、とハビーがポツリとこぼす。パパとママの間を、気を使いながら行ったり来たり。私たちは疲れていた。「Lets just stay in Portland this year then!

パパとママに今年はRoseburgには行かず、家でゆっくりすることにした、と告げる。どちらの所にも行かない。これも公平で、平等な対応であるわけで、渋々でも納得して貰えた。

電話を切った後、途端にサーッと肩の重荷が取れていく。気分が軽くなり、ホリデーモードになってきた。「What should we cook?!」と、当日に作る料理の話に盛り上がる。可哀想なのは同じ町に住んでいる弟君。「You guys are not coming!!?」 ソーリー、弟よ。一人で頑張ってくれたまえ。

Thanksgiving Dayの朝、ゆっくり目覚めた後は、ハビーがキッチンに立ち、「タイ風お粥」を作る。午後からお摘み用に2種類の「Stuffed pastries」を作る。パイ生地に マッシュルームを白ワインとガーリックで炒めたものと、蟹の身を刻みネギとゴートチーズであえたものをそれぞれパイ生地に包み、オーブンで焼く。焼き上がりを待ちながら ビールを開ける。映画「Star Trek 」を観終わると、Dinnerの支度に取り掛かる。家族と一緒に過ごさない、という事は、トラディショナルなスタイルにとらわれる必要がない、という事。ハビーと私が選んだのは、ポークチョップにクランベリーのチャツニ、グリルしたアスパラガスと、パープルポテトのガーリックマッシュドポテト添え。Pinot Grisのコルクを抜きながら、「これこれ」と思う。充分Sleep inした後に、ダンナが一日のご飯を作ってくれる。なんて楽チンなの。私の仕事は ワインを片手に 会話の花を咲かせるだけ。最高。

今年のThanksgiving Dayはこんな風に、家でゆっくり、のんびり過ごした。まあ ハビーの実家で過ごしていた時も、同じくSleep inして 料理はママとパパ任せ、と基本的な私達の行動は変わらぬとも、現在両親の間で発生しているtensionから、breakを取る事が出来た。

そして今来るはChristmas Day。パパとママからの電話が鳴り始める。オーケー、わかった。クリスマスは行くから。今年は24日にパパと過ごし、25日にママに会いに行くからね。もちろんプレゼントも持って行くよ。

面倒臭くとも、家族は家族なわけで、面倒臭くとも、集う家族が居る事は、幸せな事なのかもしれない。Hallmarkのホリデーシーズンドラマを観ながら思った。「人は変わって行くし、家族も変わって行く、それを見ながら、一緒に生きるのが家族なんだよ。」セリフ、頂きました。弟のホッとした顔が目に浮かぶよ。


Posted on 夕焼け新聞 2014年1月号

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