ホリデーシーズンがやって来た。人々が家族と集まり、一緒に過ごす喜びを祝う時。ターキーを焼き、エッグノッグを飲み、プレゼントの交換をする。集う家族がいることが幸せだと感じるシーズン。
ハビーと結婚してから ハビーのパパとママが私のパパとママになり、「my sister」と言ってくれる弟ができた。Thanksgiving とChristmas Holidaysは毎年必ずハビーの実家に行き、家族の時間を過ごした。それが自然で、当たり前のホリデーシーズンの過ごし方だった。パパとママが離婚するまでは。
ハピーの両親が、数年前 リタイア目前にして離婚してから、ホリデーシーズンが、ハビーと私にとって スケジュールを組まれた義務的イヴェントになっていった。
「今年のThanksgivingはどうするんだ?」
「いつRoseburgに来るの?」
「うちに泊まるだろ。」「うちに泊まっていいのよ。」
太刀が悪いのは、この離婚した両親が、まだ和解状態ではなく、同じ町に住んでいる事。昔のボーイフレンドの家族みたいに、離婚した元夫婦が、新しい恋人やら結婚相手やらを連れ、人類皆兄弟状態で、一斉に一つの屋根の下に集まり、どんちゃん騒ぎをする、という状態には まだなっていない。また 二人が違う州とか、西海岸、東海岸にわかれていれば、両方を訪ねることができないのは不自然ではないが、車で15分の距離のところで、パパのところを訪れておいて、ママの所に「行けない」は通らない。
だから私達はいつも2日間を用いて パパの日、ママの日、と割り当て、それぞれに会う。
そしてここから もっとセンシティブな問題になる。
どっちとThanksgiving Dayを過ごし、どっちと翌日に会うか。
どっちをChristmas Eve に訪ね、どっちとChristmas Dayを過ごすか。
つまり どっちの日に振り当てるかによって、彼らの受け取る優越度が変わってくるわけ。日本だと、断然Christmas Eveが大事だろうけど、アメリカのメインはChristmas Dayだからね。とにかく、それを決めるのは私達の胸にゆだねられている。私達は真ん中に立ち、公平で、平等な対応に努めてきた、彼らが別居した日から。
今年も10月頭ぐらいから、Thanksgiving Dayの予定を伺う電話が両者から鳴り始めた。ハビーはうんざり感を隠し切れない。「It
is too early to plan for Thanksgiving, Mom。」「We will
tell you when we figure that out, Dad。」
毎週のように掛かってくる電話に、Yes ともNoとも言えず、ついにThanksgiving Dayの週に入ってしまった。
「I wish we could just have Thanksgiving by ourselves, just us alone」、とハビーがポツリとこぼす。パパとママの間を、気を使いながら行ったり来たり。私たちは疲れていた。「Let’s just stay in Portland this year then!」
パパとママに今年はRoseburgには行かず、家でゆっくりすることにした、と告げる。どちらの所にも行かない。これも公平で、平等な対応であるわけで、渋々でも納得して貰えた。
電話を切った後、途端にサーッと肩の重荷が取れていく。気分が軽くなり、ホリデーモードになってきた。「What should we cook?!」と、当日に作る料理の話に盛り上がる。可哀想なのは同じ町に住んでいる弟君。「You
guys are not coming!!?」 ソーリー、弟よ。一人で頑張ってくれたまえ。
Thanksgiving Dayの朝、ゆっくり目覚めた後は、ハビーがキッチンに立ち、「タイ風お粥」を作る。午後からお摘み用に2種類の「Stuffed pastries」を作る。パイ生地に マッシュルームを白ワインとガーリックで炒めたものと、蟹の身を刻みネギとゴートチーズであえたものをそれぞれパイ生地に包み、オーブンで焼く。焼き上がりを待ちながら ビールを開ける。映画「Star Trek 」を観終わると、Dinnerの支度に取り掛かる。家族と一緒に過ごさない、という事は、トラディショナルなスタイルにとらわれる必要がない、という事。ハビーと私が選んだのは、ポークチョップにクランベリーのチャツニ、グリルしたアスパラガスと、パープルポテトのガーリックマッシュドポテト添え。Pinot Grisのコルクを抜きながら、「これこれ」と思う。充分Sleep inした後に、ダンナが一日のご飯を作ってくれる。なんて楽チンなの。私の仕事は ワインを片手に 会話の花を咲かせるだけ。最高。
今年のThanksgiving Dayはこんな風に、家でゆっくり、のんびり過ごした。まあ ハビーの実家で過ごしていた時も、同じくSleep inして 料理はママとパパ任せ、と基本的な私達の行動は変わらぬとも、現在両親の間で発生しているtensionから、breakを取る事が出来た。
そして今来るはChristmas Day。パパとママからの電話が鳴り始める。オーケー、わかった。クリスマスは行くから。今年は24日にパパと過ごし、25日にママに会いに行くからね。もちろんプレゼントも持って行くよ。
面倒臭くとも、家族は家族なわけで、面倒臭くとも、集う家族が居る事は、幸せな事なのかもしれない。Hallmarkのホリデーシーズンドラマを観ながら思った。「人は変わって行くし、家族も変わって行く、それを見ながら、一緒に生きるのが家族なんだよ。」セリフ、頂きました。弟のホッとした顔が目に浮かぶよ。
Posted on 夕焼け新聞 2014年1月号
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